![]() Farp2およびStk25およびその使用
专利摘要:
FARP2またはSTK25またはそのホモログまたはオーソログの発現または活性を改変することによるHDL関連疾患の処置に関する方法および組成物を提供する。 公开号:JP2011514327A 申请号:JP2010546315 申请日:2009-02-11 公开日:2011-05-06 发明作者:ス・チグアン;ビバリー・ペイジェン;ワン・シャオソン 申请人:ザ・ジャクソン・ラボラトリーThe Jackson Laboratory;ノバルティス アーゲー; IPC主号:A61K39-395
专利说明:
[0001] 政府支援 本発明は、アメリカ心臓協会交付金AHA番号:0725905Tの下での交付金により一部支援された。合衆国政府は、本発明に対しある種の権利を有し得る。] [0002] 発明の分野 本発明は、概して冠動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症の処置方法に関する。特に、本方法では、Farp2およびStk25の発現および/または活性を阻害・調節することにより、高比重リポタンパク質レベルを増加させることを含む。] 背景技術 [0003] 発明の背景 アテローム性動脈硬化症は、脂質蓄積、炎症応答、細胞死および動脈壁での線維増多を特徴とする。アテローム性動脈硬化症は、特に米国および西欧諸国における罹病率および死亡率の主たる要因である。例えば家族歴など遺伝的に支配されている因子、高い血漿低比重リポタンパク質(LDL)レベルおよび低い血漿高比重リポタンパク質(HDL)レベル、高血圧、糖尿病、老齢、男性であること、および喫煙、高脂肪で過度の加工食品の食べ過ぎおよび運動不足などの生活様式因子を含め、多くの危険因子がアテローム性動脈硬化症の発症に関与している。LDLコレステロール(LDL−C)はアテローム発生促進性であるため、血漿LDL−Cレベルを低下させ、心臓血管の有害事象の危険性を縮小させるためにスタチン薬剤が開発された。最近の研究は、現行の指針目標を下回るレベルまでLDL−Cレベルを低下させると、さらにアテローム発生が阻止され、冠動脈の有害事象も減少することを示唆している。スタチン薬剤は新たな心臓血管の有害事象を3分の1に減少させた。これは意義深いことであるが、追加治療が必要とされるのは明らかである。血漿HDLコレステロール(HDL−C)レベルの増加によりアテローム発生が阻止されるという証拠はあるが、有効なHDL上昇剤が多数存在するとは思われない。したがって、HDLレベルを高める薬剤の同定が要望されている。] [0004] 発明の要約 本発明は、Farp2およびStk25およびその適切なホモログおよびオーソログが、血漿中の高比重リポタンパク質レベルを調節するという予想外の発見に基づいている。Hdlq14の存在は、同一のSoatI遺伝子を持ち、Apoa2QTLを特定する鍵アミノ酸は異ならないが、Hdlq14領域でのハプロタイプが異なる系統間で交雑を実施することにより確認される。この交雑によりHdlq14の存在が確認されたとき、QTL領域は、交雑、比較ゲノム学、ハプロタイプ分析および発現および配列決定試験を組み合わせることにより狭められた。] [0005] すなわち、本発明は、Farp2およびStk25、およびその適切なホモログおよびオーソログが血漿中の高比重リポタンパク質レベルを調節するという新たな発見に関する。血漿リポタンパク質レベルに影響を及ぼすこのタンパク質の役割は、未だ判明していない。本発明は、Farp2およびStk25がHDLコレステロールの血漿レベルに影響を及ぼすこと、具体的には、Farp2活性調節およびStk25活性阻害を利用することにより、血漿HDLコレステロールレベルを上昇させ、アテローム性動脈硬化症を処置することができることを示す。] [0006] したがって、一態様において、本発明は、Farp遺伝子(例えば、Farp2遺伝子)またはStk遺伝子(例えば、Stk25遺伝子)によりコード化されるポリペプチドのエピトープに特異的である抗原結合領域を含む単離抗体またはその機能性フラグメントの使用であって、該抗体または機能性フラグメントは、細胞上の表面受容体に結合し、HDL関連疾患の発症を阻止または改善する使用に関する。] [0007] 一実施態様において、本発明は、有効量の抗体またはその機能性フラグメントを対象に投与することを含む、HDL関連疾患の処置方法に関する。] [0008] 本発明の抗体は、抗体またはその機能性フラグメントおよび医薬上許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物に製剤化され得る。医薬組成物は、有効量の抗体または機能性フラグメントを含む医薬組成物を処置を必要とする対象に投与することによるHDL関連疾患の処置方法として使用することができる。] [0009] 本発明はまた、HDL関連疾患処置用医薬の製造を目的とする単離抗体またはその機能性フラグメントの使用であって、該抗体または機能性フラグメントは、Farp遺伝子またはStk遺伝子、またはそのオーソログまたはホモログ(例えば、Farp2またはStk25遺伝子、またはそのオーソログまたはホモログ)によりコード化されるポリペプチドのエピトープに特異的な抗原結合領域を含む使用に関する。] [0010] 一実施態様において、本発明は、FarpまたはStkの発現の調節を含む、冠動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症の処置方法に関する。特定の一実施態様において、FarpはFarp2遺伝子であり、StkはStk25遺伝子である。別の実施態様において、FarpまたはStkの発現および/または活性の阻害段階では、さらにFarp遺伝子(例えば、Farp2遺伝子)またはStk遺伝子(例えば、Stk25遺伝子)、またはそのホモログまたはオーソログによりコード化されるポリペプチドのエピトープに特異的な抗原結合領域を含む単離抗体またはその機能性フラグメントを用いて活性を阻害することを含む。特に、抗原結合領域を含む単離抗体またはその機能性フラグメントは、細胞上の表面受容体に結合し、HDL関連疾患の発症を阻止または改善する。また、抗体または機能性フラグメントをコード化する遺伝子をもつトランスジェニック動物も本発明の範囲内に含まれる。] [0011] 一実施態様において、本発明は、Farp2またはStk25またはそのホモログまたはオーソログの発現または活性を改変することを含む冠動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症の処置方法に関する。] [0012] 別の実施態様において、本発明は、冠動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症の指標であるFarp2またはStk25の対立遺伝子またはそのホモログまたはオーソログの検出を含む、冠動脈疾患または冠動脈疾患に対する易罹患性の検出方法に関する。特定の一実施態様では、対立遺伝子は、FARP2のLeu821またはPro821である。] [0013] 別の実施態様において、本発明は、冠動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症の処置の効力の測定方法であって、冠動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症を処置し、冠動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症の処置の効力が決定されるようにFarp2またはStk25またはそのホモログまたはオーソログのレベルを対照標準と比較することを含む方法に関する。] [0014] 別の実施態様において、本発明は、Farp2またはStk25またはそのホモログまたはオーソログの発現または活性を改変することにより、血漿HDL−Cレベルの増加を誘導する、冠動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症の処置に有用な薬剤の同定方法であって、生物試料を候補薬剤と接触させ、候補薬剤との接触の前後において試料中の総血漿リポタンパク質またはHDL−Cのレベルを測定することを含み、HDL−Cの増加を、冠動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症の処置に有用な薬剤の指標とする方法に関する。] [0015] 別の実施態様では、本発明は、冠動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症の処置に有用な薬剤の同定方法であって、既知基質の存在下でFARP2またはSTK25またはそのホモログまたはオーソログを候補薬剤と接触させることを含み、FARP2またはSTK25またはそのホモログまたはオーソログの活性の改変により、冠動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症の処置に有用な薬剤として候補薬剤を同定する方法に関する。特定の一実施態様では、接触段階を培養細胞で実施する。別の実施態様では、接触段階を生体内で実施する。別の実施態様において、FARP2またはそのホモログまたはオーソログは、内因性または外因性である。] [0016] 別の実施態様において、本発明は、対象においてHDL−Cレベルを上昇させるモジュレーション剤の投与を含む、HDL関連疾患のモジュレーション方法に関する。一実施態様において、HDL関連疾患は、アテローム性動脈硬化症、脂質障害、アルツハイマー病、酸化ストレス、肥満、心臓血管疾患、2型糖尿病およびインスリン抵抗性から成る群から選択される。別の態様において、脂質障害は、高コレステロール、脂質異常症候群、高トリグリセリド、脂質異常症、異常リポタンパク血症、高脂血症、家族性高コレステロール血症および家族性高トリグリセリド血症から成る群から選択される。特定の一実施態様において、薬剤は、FARP2またはSTK25またはそのホモログまたはオーソログの発現または活性を改変する。一特定実施態様において、モジュレーション剤は、小分子、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNAおよび抗体から成る群から選択される。特定の一実施態様において、HDL関連疾患は、対象のHDL−Cレベルが一般に容認された正常HDL−Cレベルを下回っている疾患である。特定の一実施態様において、HDL関連疾患は、対象のHDL−Cレベルが関連集団の平均HDL−Cレベルを下回っている疾患である。特定の一実施態様では、薬剤を医薬上許容される担体と共に投与する。] 図面の簡単な説明 [0017] 図1は、マウスHDLQTLおよびそれらのヒトに一致したQTLのChr.(染色体)1地図である。垂直線は染色体を表し、頂点に動原体を記している。マウスHDL QTLを、染色体の左側のバーにより表す。各バーは、一交雑種からのQTLを表す。QTLサイズは、95%信頼区間(CI)、1.5−LODドロップ間隔(95%CIが有効でない場合)、またはLODスコアピークを中心に±10cM(CIもLODスコアの数字も有効でない場合)のいずれかとして与えている。ヒトHDL QTLのマウス相同性領域を、染色体の右側のバーにより表し、これらのヒトQTLの染色体番号をそれらの右側に付す。] 図1 [0018] 図2は、Hdlq14が、NZB×NZW交雑において確認されることを示す。(A)264の雄および雌F2子孫の対数変換した血漿HDL濃度の分布。(B)詳細なLODスコアは交雑種NZB×NZWからのChr1で血漿HDLに関して示され(黒線)、Hdlq14は交雑種を合わせることにより縮小している(青線)。X軸は、センチモルガン単位でマーカー位置を示し、Y軸は、LODスコアを示す。交雑種の組み合わせにおいて、統計的手法を用いてQTLを狭めることにより、現(NZB×NZW)F2交雑種および前(B6×129)F2交雑種の両方からのHdlq14に関するデータを合わせた。青線におけるcM92での第2ピークは、B6および129間のApoa2遺伝子差異が原因であるQTLを表す。(C)血漿HDLでのピークマーカーD1Mit336での対立遺伝子効果。WW、BBおよびBWは、それぞれマーカー遺伝子座においてNZW対立遺伝子、NZB対立遺伝子について同型接合体および異型接合体であるF2マウスを示す。示された遺伝子座に特定遺伝子型をもつF2の平均HDL±SEMとして値を表す(それぞれ、雄および雌においてP=0.008および0.0002)。] 図2 [0019] 図3は、異なる戦略により狭められたHdlq14領域を示す。(A)95%CIは、B6×129交雑種におけるMb82〜162間である。(B)95%CIは、NZB×NZW交雑種におけるMb80〜125間である。(C)Hdlq14は、交雑種を合わせることにより125−遺伝子27.3−Mb領域(Mb89.8〜117.1)に縮小された。(D)Hdlq14を検出した交雑種NZB×NZWおよびB6×129を用いると、ハプロタイプ分析により、領域は19遺伝子を含む2.3Mbに縮小された。(E)Hdlq14を検出し得なかった交雑種B6×C3HおよびNON×NZOを用いると、ハプロタイプ分析により、QTLはさらに2遺伝子に縮小された。] 図3 [0020] 図4は、129、B6、NZBおよびNZW系統間におけるChr1でのMb89.8〜96の範囲にわたる領域の細かいハプロタイプ分析地図である。物理的位置の縦行は、Ensemblデータベース(NCBI build36)に従って動原体からのメガ塩基での距離を示す。マウス系統を図の上部に示す。SNPは、系統間において各位置で観察されたヌクレオチドA、T、GおよびCとして示されている。小文字で記載されたSNPは、周囲のハプロタイプに基づく予測であることを意味する。129およびNZW系統間で共有されるゲノム領域を緑色で強調しており、B6および129系統が共有する領域とは異なる領域を黄色で強調している。共通のハプロタイプブロックを、3またはそれより多い保存的共有対立遺伝子であるものとして定義する。共通SNPを、共遺伝仮説に従って四角で囲んだ部分として示す。] 図4 [0021] 図5は、配列比較を示す。(A)多形の原因のPro821Leuは、配列決定することにより16系統で同定された。対立遺伝子C(上部)は、B6、C3H、CAST、PERA、NON、NZB、NZO、RIIIおよびSM系統で同定され、対立遺伝子T(下部)は、129、A/J、DBA2、FVB、I/LnJ、NOD、NZWおよびSJL系統で同定された。(B)FARP2におけるプロリン821は、哺乳類種間における保存領域にある。] 図5 [0022] 図6は、位置および配列データを示す。(A)LODスコアは、交雑種NZB×NZW(黒色)、NZO×NON(オレンジ色)、B6×C3H(赤色)およびPera×DBA(青色)におけるChr1でプロットされる。交雑種NON×NZOおよびB6×C3Hは、Hdlq14を有さず、交雑種PERA×DBA2はその位置にQTLを有する。(B)NZOおよびNON、B6およびC3HおよびPERAおよびDBA/2系統対間で遺伝子E030010N08Rik、Sned1、Mterfd2、Pask、Farp2およびStk25をもつ領域に関するハプロタイプ地図。交雑種NON×NZOおよびB6×C3Hにおけるハプロタイプは、底部5つのSNPについては同一であり、Farp2におけるCn SNP(95.4480Mb)およびStk25におけるSNP全部が含まれる。しかしながら、底部5より上のSNPは全て異なる。交雑種PERA×DBA2は底部5つのSNPが異なる。] 図6 [0023] 図7は、バックグラウンドAPOA2 Ala61(上方パネル)およびVal61(下方パネル)でそれぞれFARP2変異型Leu821およびPro821をもつ近親交配マウス系統におけるHDL濃度を示す。上方パネル:30系統を2タイプ(FARP2 Leu821をもつ12系統およびFARP2 Pro821をもつ18系統)に分けた。下方パネル:11系統を2タイプ(FARP2 Leu821をもつ6系統およびFARP2 Pro821をもつ5系統)に分けた。血漿HDL濃度(平均±SEM、mg/dl)は、4時間絶食させた7〜10週齢雌(左側2列)および雄(右側2列)の群から得られた(Mouse Phenome Database)。各群は、10〜40マウス(24±7雄および22±6雌、平均±SD)により構成された。] 図7 [0024] 発明の詳細な説明 本発明は、染色体1におけるHdlq14の存在、およびFarp2およびStk25が、量的形質遺伝子座(QTL)Hdlq14について根元的であると思われる遺伝子であるという予想外の発見に関する。さらに試験すると、FARP2 Leu821変異型は、FARP2 Pro821変異型よりも著しく高い血漿HDLレベルを有していた。] [0025] 心臓血管疾患は、合衆国における罹病率および死亡率の主原因である。CVDの約8%は、50歳未満のアメリカ人で起こる。早発性CVD患者の約40%は、低い高比重リポタンパク質コレステロール(HDL)を示すと推定され、これが、CVD患者における最も一般的なリポタンパク質疾患を示す(Genest, J. et al.,Circulation, 85:2025-2033, 1992)。HDLレベルおよびCVD間のこの逆関係は、HDLレベルの変動の一因となる遺伝因子に対する関心を引き出した。ヒトにおいてHDLに関する連鎖分析を実施する場合、固有の難しさがあるため、多くの哺乳類遺伝学者は、マウスモデルに転向した。この設定におけるマウス近親交配系統の使用は、環境、交配スキームおよび詳細な表現型分析などの実験パラメーターに対し影響が及ぼされ得る対照基準度を考慮すれば、ヒト遺伝研究にとって代わる現実味のある方法であることが判明した(Allayee, H. et al., Front. Biosci., 11:1216-1226, 2006)。] [0026] 血漿HDLレベルに影響を及ぼす100を超えるQTLがマウスで同定され、最も高頻度のものは、交雑種のそれぞれにおけるApoa2の遺伝子変異故に、遠位染色体1で同定されている。NZB×NZW交雑種におけるApoa2の主要遺伝子効果について制御することにより、血漿HDLレベルに関して近位染色体1での別のQTLの確認が本明細書では開示されている。この遺伝子座のピークはD1Mit336(58.7cM、98.4Mb)にあり、95%信頼区間は、交雑種B6×129で以前に同定されたHdlq14と重複した80Mbから125Mbまでである。マウスおよびヒト間のシンテニック分析は、マウスにおいてHdlq14が広がる染色体領域の部分が、ヒトにおける2q37.2−37.3の染色体領域と相同性であることを示した。ヒトでは、血漿HDLは、染色体2q37.2−37.3に連関しており(Elbein, S. & Hasstedt, S., Diabetes, 51:528-535, 2002)、従って、Hdlq14の根元となる遺伝子は、マウスおよびヒトの両方におけるHDLレベル変化に影響を及ぼすと思われ、この仮定は、他の形質、例えばアテローム性動脈硬化(Wang, X. et al., Nature Gen., 37:365-372, 2005)、体脂肪(Krude, H. et al., Nature Gen., 19:155-157, 1998)、肝臓線維生成(Hillebrandt, S. et al., Nature Gen., 37:835-843, 2005)、血圧(Stoll, M. et al., Genome Res., 10:473-482, 2000; Sugiyama, F. et al., Genomics, 71:70-77, 2001)でも見いだされている。] [0027] 交雑種から同定されたQTLは、限られた組換え事象から検出されたものであるため、大きな信頼区間を有することが多い(Korstanje, R. & Paigen, B., Nature Gen., 31:235-236, 2002)。幾つかの交配戦略を用いることにより、例えば選択的遺伝子解析、組換え子孫試験、間隔特異的共通遺伝子系、前進交雑種系(Darvasi, A. & Soller, M., Genetics, 141:1199-1207, 1995)、組換え近親交配分離試験、組換え近親交配交雑試験、および遺伝的異種ストック(Mott, R. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97:12649-12654; 2000; Talbot, C. et al., Nature Gen., 21, 305-308, 1999)など、QTLは細かく分割され得る(Darvasi, A., Nature Gen., 18:19-24, 1998; McPeek, M., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97:12389-12390, 2000; Flint, J. et al., Nature Rev., 6:271-286, 2005)。バイオインフォマティクスツールは、QTLを狭めるのに迅速かつ経済的な方法であり(DiPetrillo, K. et al., TrendsGenet., 21:683-692, 2005)、公開配列、遺伝子型および発現データベースへの最近の投資、および統計的手法の新たな開発により可能となった。交配、比較ゲノム学およびハプロタイプ分析の組み合わせを含むこれらのツールにより、QTLマッピング間隔を段階的に狭め、最も有望な候補遺伝子を同定する可能性を秘めたさらなる分析用に候補遺伝子の優先順位を決定することが可能となった。このバイオインフォマティクス方法を用いることにより、交雑種NZB×NZWにおいてHdlq14が広がりを見せる45Mbからの染色体領域は2.3Mbまで効果的に縮小され、位置的候補の数は225から試験可能な19まで縮小された。第2段階において、我々は、QTLを検出し得なかった2交雑種、NZO×NONおよびB6×C3H交雑種における親系統のハプロタイプを使用した。これら2交雑種についての原稿はまだ準備中であるため(Su, Paigen)、未処理遺伝子型および表現型データは、http://phenome.jax.org/pub-cgi/phenome/mpdcgi?rtn=projects/qtlprojlistに保管されている。これら2交雑種に関し、我々は、QTLが検出されなかったため、全4系統について同一であるハプロタイプについて検索した。これらの交雑種は、Farp2およびStk25遺伝子におけるSNPについて同一ハプロタイプを有していたが、他の17遺伝子についてハプロタイプは異なっていた。すなわち、これら2交雑種により、QTL領域は2遺伝子のみに縮小され、他の17遺伝子は排除された(図3、段階e)。] 図3 [0028] Hdlq14の位置的候補遺伝子について、遺伝子配列決定および発現解析によりさらに優先順位を決定した。QTLは、タンパク質の量またはタンパク質の機能における親系統間の差異から生じる。従って、QTL検出に使用された系統間で配列多形を同定することは、原因遺伝子の決定に重要である。機能的結果は必ずしも明らかになるわけではないが、タンパク質の機能的差異は、DNAのコーディング領域での配列変化により生じる。B6、129、NZBおよびNZW由来のこれら15の位置的候補遺伝子の完全コーディング配列を比較したところ、6遺伝子、Glrp1、E030010N08Rik、Sned1、Mterfd2、PaskおよびFarp2のみが、アミノ酸を変える多形を有することが見出された。全位置的候補遺伝子について、Hdlq14 QTLをもたらす129、B6およびNZB間におけるそれらの発現差異により調べた。Stk25は、Hdlq14について異なる対立遺伝子を有する親系統B6および129間または129およびNZB系統間で顕著な発現差異を有し、Hdlq14について両方とも同一の対立遺伝子を有するB6およびNZB間では発現差異は無いことが見出された。発現差異のこの評価は、Stk25が現実味のある候補遺伝子であることを示す。Farp2は、系統全体で完全に一致しているわけではなく、ある程度の発現差異を有し、また保存領域に非同義コーディング領域差異(Leu821Pro)を有していた。ハプロタイプデータは、NZWおよび129が、Stk25でのA/Jと同じ調節情報を有するが、B6およびNZB系統においては異なることを示している。A/JおよびB6系統間での交雑におけるeQTL試験は、Stk25がそのeQTLにより調節されることを示しており、HDLレベルは、B6およびA/J系統に由来する交雑種においてB6同型接合体をもつマウスの場合よりA/J同型接合体をもつマウスの方で著しく高いため(52.1±8.9対44.8±7.9、p=8.8×10−6)、A/J、129およびNZW系統は、異なる交雑種におけるHDLレベルに対し同じ高対立遺伝子を与える。すなわち、Stk25の発現は、129およびB6、NZWおよびNZB系統間ではそれ自体で調節されると思われる。Stk25は、セリン/トレオニンキナーゼ25をコード化し、セリン/トレオニンキナーゼは、筋肉および肝細胞におけるAMPK活性化の非常に重要な調節因子であり(Imai, K. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 351:595-601, 2006)、従って、その活性は我々が脂質代謝を理解する上でも重要である。] [0029] アミノ酸を変える変異型は遺伝子Glrp1、E030010N08Rik、Sned1、Mterfd2およびPaskで同定されたが、交雑種NZO×NOD、B6×C3HおよびPera×DBAで同定されたHDLQTLは、これらの遺伝子における多形に起因するとは思われなかった。FARP2の多形Pro821Leuは、保存プレックストリン相同性(PH)ドメインにあり(Lemmon, M., Biochem. Soc. Symp., 81-93, 2007)、それ自体脂質と結合すると考えられている(Klopfenstein, D. & Vale, R., Mol. Biol Cell, 15:3729-3739, 2004)。Leu821変異型をもつマウス系統は、Pro821変異型をもつものより著しく高い血漿HDLレベルを有することが見出された。これらの発見は、根元的Hdlq14遺伝子としてのFarp2の存在を裏付けるものであり、Farp2多形がHdlq14表現型に関与していることを示唆している。] [0030] Farp2およびStk25は、物理的位置が互いに非常に近いため、コンジェニックマウスなどの伝統的遺伝子戦略を用いてそれらを分離するのは困難であり、全近親交配系統間においてハプロタイプが同一であるため、別の交雑種で交差を発見することによりそれらを分離することも考えられない。] [0031] 定義 本明細書で使用されている「HDL」の語は、高比重リポタンパク質をいう。HDLは、血中でのコレステロール輸送体として機能する、ほぼ等量の脂質とタンパク質の複合体を含む。HDLは、主として肝臓および小腸の内皮細胞で合成され、分泌される。分泌直後、HDLは、その主要構成成分としてアポタンパク質A−I(アポA−Iとも呼ばれる)およびリン脂質を含む円盤状粒子の形態を呈し、新生(nascent)HDLとも呼ばれる。この新生HDLは、血中で、末梢細胞の細胞膜からの遊離コレステロールまたは他のリポタンパク質の加水分解過程で生成されたコレステロールを受け取り、その疎水性中心でLCAT(レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ)の作用により上記コレステロールから変換されたコレステロールエステルを保持しながら、成熟球状HDLを形成する。HDLは、血中で末梢組織からの過剰コレステロールを取り込み、それを肝臓に輸送する「コレステロール逆転送系」と呼ばれる脂質代謝に関する生理学的機能において非常に重要な役割を演じる。コレステロール逆転送系は、アテローム性動脈硬化症に対する予防的作用を誘発すると考えられるため、HDLのレベルが高いと、アテローム性動脈硬化症および冠動脈性心疾患(CHD)の危険性は低下する。] [0032] 明細書で使用されている「HDLモジュレーション剤」の語は、HDLレベルの改変により、HDL関連疾患または状態が改変されるようにHDLの発現または機能性レベルを改変させることができる分子をいう。HDLモジュレーション剤は、HDLレベルに影響を及ぼす核酸またはポリペプチドと直接的または間接的に作用することができる。HDLモジュレーション剤の例としては、限定されるわけではないが、抗体、siRNA分子および低分子量化合物がある。一実施態様において、HDLモジュレーション剤は、Farp遺伝子(例えば、Farp2遺伝子)またはStk遺伝子(例えば、Stk25遺伝子)またはそのホモログまたはオーソログによりコード化されるポリペプチドのエピトープに特異的な抗原結合領域を含む単離抗体またはその機能性フラグメントである。抗体または機能性フラグメントは、細胞上の表面受容体に結合することにより、HDL関連疾患の発症を予防または改善することができる。] [0033] 本明細書で使用されている「生物試料」の語は、生物全体またはその組織、細胞または構成部分(例えば、限定されるわけではないが、血液、粘液、リンパ液、滑液、脳脊髄液、唾液、羊水、臍帯血、尿、膣液および精液を含む体液)のサブセットをいう。さらに「生物試料」は、生物全体またはその組織、細胞または構成部分のサブセット、または限定されるわけではないが、血漿、血清、髄液、リンパ液、皮膚、呼吸器、腸および尿生殖器官の表面薄片、涙液、唾液、乳、血液細胞、腫瘍、臓器を含むフラクションまたはその一部分から調製されるホモジネート、ライゼートまたは抽出物をいう。たいていの場合、試料を動物から取り出すが、「生物試料」の語は、例えば動物から採取せずに、生体内で分析される細胞または組織を指す場合もあり得る。典型的には、「生物試料」は動物からの細胞を含むが、この語はまた、血液、唾液または尿の非細胞性フラクションなどの非細胞性生物材料を指す場合もあり得、これらは癌関連ポリヌクレオチドまたはポリペプチドレベルの測定に使用され得る。さらに「生物試料」は、タンパク質または核酸分子などの細胞成分を含む、生物を増殖させていた栄養ブイヨンまたはゲルなどの培地も包含する。] [0034] 本明細書で使用されている「核酸」の語は、1本または2本鎖形態のいずれかのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよびその重合体を包含する。この語は、合成的、天然的および非天然的に存在し、対照標準核酸と類似した結合特性を有し、対照標準ヌクレオチドと同様に代謝される既知ヌクレオチド類似体または修飾バックボーン残基または結合を含む核酸を包含する。上記類似体の例としては、限定は無いが、ホスホロチオエート、ホスホロアミデート、メチルホスホネート、キラル−メチルホスホネート、2−O−メチルリボヌクレオチドおよびペプチド−核酸(PNA)がある。核酸配列はまた、上記核酸の天然に存在する対立遺伝子変異型を含む。] [0035] 本明細書で使用されている「オリゴヌクレオチド」の語は、ホスホジエステル結合により連結された2またはそれより多いデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドから成り、好ましくは約6ないし約300のヌクレオチド長を含む核酸分子をいう。オリゴヌクレオチドのサイズは、オリゴヌクレオチドの最終的機能または使用を含む多くの因子に依存する。好ましくは、例えば伸長プライマーとして機能するオリゴヌクレオチドは、触媒、例えばDNAポリメラーゼ、およびデオキシヌクレオチド三リン酸の存在下で伸長産物の合成を開始させるのに十分なほど長いものである。さらに、本明細書で使用されている「オリゴヌクレオチド」の語は、構造的に修飾されてはいるが(「修飾オリゴヌクレオチド」)、非修飾オリゴヌクレオチドと同様に機能するオリゴヌクレオチドも包含する。修飾オリゴヌクレオチドは、例えばホスホロチオエートのように、改変糖部分または糖間結合などの非天然部分を含み得る。] [0036] 本明細書で使用されている「ポリペプチド」の語は、単量体がアミノ酸であり、ペプチドまたはジスルフィド結合により連結されている重合体をいう。またこの語は、約8ないし約500アミノ酸長の完全長天然アミノ酸配列またはそのフラグメントを包含する。さらに、非天然アミノ酸、例えば、ベータ−アラニン、フェニル、グリシンおよびホモアルギニンも含まれ得る。本発明で使用されるアミノ酸は全て、D−またはL−光学異性体であり得る。また、ポリペプチド配列は、上記ポリペプチドの天然対立遺伝子変異型も包含する。] [0037] 本明細書で使用されている「量的形質遺伝子座」(QTL)分析は、複雑な特性を調節する新規遺伝子の発見手段をいう(Abiola, O. et al., Nature Rev., 4:911-916, 2003)。マウス疾患モデルで検出されるQTLからヒト疾患QTLの位置を予測できることが多いため、QTL分析は、生物医学研究にとって特に重要である。マウスおよびヒトの両方に関する相同性領域における疾患QTLのこの位置は、同一遺伝子が両種においてこれらの特性を調節することを示唆している。すなわち、マウスモデルを用いるQTL分析により、ヒト疾患において重要な遺伝子が潜在的に同定され得る。] [0038] 本明細書で使用されている「対象」の語は、動物を包含する。好ましくは、動物は、ヒトまたはヒト以外の哺乳類である。また好ましくは、対象は、例えば、霊長類(例えば、サル、類人猿およびヒト)、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚類、鳥類などである。好ましい実施態様では、対象はヒトである。] [0039] 本明細書で使用されている「効力」の語は、所望の効果が得られる程度をいう。具体的には、この語は、血漿リポタンパク質およびHDLレベルがモジュレーション(例えば、上昇、増加、阻害、縮小または遅延)される程度をいう。本願明細書で使用されている「効力」の語はまた、冠動脈疾患(CAD)の1つまたは複数の症状または臨床事象の軽減または縮小を指す。症状の軽減または縮小には、限定されるわけではないが、ホスファチジルコリン分解、酸化リン脂質の縮小または排除、アテローム性動脈硬化プラーク形成および破綻の縮小、心臓発作、アンギナまたは卒中などの臨床事象の縮小、高血圧の減少、炎症伝達物質生合成の減少、血漿コレステロールの減少などがある。また、症状の軽減または縮小は、アテローム性動脈硬化により影響される血管床への血流の改善を含み得る。] [0040] 本明細書で使用されている「冠動脈疾患」(CAD)または同意語の「冠動脈性心疾患」(CHD)の語は、冠動脈の遮断により特徴付けられる心臓血管疾患をいう。遮断は、プラーク破綻または塞栓形成などの機構により突然起こり得る。遮断は、筋内膜過形成およびプラーク形成による動脈の狭窄を伴いながら漸進的に起こり得る。プラークが肥厚すると、動脈は狭まり、血流が減少することにより、心筋層への酸素供給が減少する。血流におけるこの減少により、心筋層に関する一連の重大な結果がもたらされる。例えば、心筋層への血流の中断により、一般に心臓発作として知られている「梗塞」(心筋梗塞)が誘発される。心臓に送達する動脈の遮断から起こるそれらの臨床徴候および症状が、CADの症状発現である。CADの症状発現には、アンギナ、虚血、心筋梗塞、心筋症、うっ血性心不全、不整脈および動脈瘤形成がある。冠動脈循環系における脆弱性プラーク疾患は、動脈血栓症またはそれ自体心筋梗塞として症状を発現する遠位塞栓形成と因果関係を示すことがわかる。CADは、一連の病期を包含し得る。CADの初期段階は、血流を遮断しているわけではない冠動脈の壁に生じたアテローム線条を特徴とする。何年もの期間にわたって、これらの線条は肥厚する。すなわち、CADの次なる段階は、動脈壁および脈管内腔中へ拡大し、動脈を通る血流に影響を及ぼすプラークの形成を特徴とする。プラークが厚さを増し、脈管の直径の大部分を遮断したときに、対象は、閉塞性CADまたは虚血性心疾患の症状を発現したと言われる。症状は、労作性狭心症または運動耐容能の減少を含むことが多い。CADの度合いが進行すると、冠動脈の管腔がほぼ完全に遮断され、心筋層へ酸素を送達する血液の流れが厳しく制限され得る。CADのこの段階は心筋梗塞(心臓発作)と呼ばれ、安静時狭心症および急性肺浮腫の症状を含む、慢性冠動脈虚血の徴候および症状を特徴とする。] [0041] 本明細書で使用されている「アテローム性動脈硬化症」の語は、身体および身体諸器官の1本または数本の動脈および小動脈、例えば、限定されるわけではないが、冠動脈、大動脈、腎動脈、頸動脈、四肢および中枢神経系へ血液を供給する動脈の狭窄および/または閉塞をまねく、マクロファージ、平滑筋細胞および他のタイプの細胞におけるコレステロールおよびコレステロールエステルおよび関連脂質の異常な蓄積に至る過程をいう。アテローム性動脈硬化症は、血流からの物理的な力によりアテローム性動脈硬化病変部分が崩壊し、深動脈壁成分が流れている血液に露出されるまで何十年も続く全く潜行性のものであり、血栓症を誘発し、心臓または脳などの標的臓器への酸素供給に支障をきたすことになり得る。一理論によると、アテローム性動脈硬化症は、以下の段階:1)内皮細胞機能不全および/または損傷、2)単球リクルートおよびマクロファージ形成、3)脂質沈着および修飾、4)脈管平滑筋細胞増殖、および5)細胞外マトリックスの合成を含む。さらに、この病理学的過程の関連炎症反応および伝達物質もまたこの定義に包含される。] [0042] 本明細書で使用されている「HDL関連」疾患は、低HDLレベルを伴う疾患または形質、例えばアテローム性動脈硬化症をいう。これらの関連疾患としては、例えば、アテローム性動脈硬化症、脂質障害、アルツハイマー病、酸化ストレス、肥満、心臓血管疾患、2型糖尿病およびインスリン抵抗性(メタボリック症候群とも称される)が挙げられる。脂質障害としては、例えば、コレステロール上昇(1デシリットル当たり130ミリグラムまたはmg/dLを超えるLDLレベル)、脂質異常症候群、トリグリセリド上昇(1500mg/dL程度の高トリグリセリドレベル)、脂質異常症またはリポタンパク質異常血症(HDLが35mg/dL未満である)、高脂血症または高コレステロール、家族性高コレステロール血症(総およびLDLコレステロールを高める遺伝疾患)および家族性高トリグリセリド血症(遺伝的高トリグリセリド)が挙げられる。] [0043] 本明細書で使用されている「発現レベルの著しい変化」という表現は、発現の評価に使用された検定法の標準誤差より大きい量での対照レベルからの発現レベルの増加または減少を指す。この表現はまた、好ましくは少なくとも約10%、約20%、約25%、約30%、好ましくは少なくとも約40%、約50%、さらに好ましくは少なくとも約60%、約70%または約90%、約100%、約150%または約200%またはそれを超える変化をさす。] [0044] 本明細書で使用されている「遺伝子」の語は、ポリペプチドをコード化し、その発現を調節する核酸配列をいう。したがって、遺伝子は、調節エレメント、例えばプロモーター、スプライス部位、エンハンサー、リプレッサー結合部位などを含む。遺伝子は、ポリペプチド配列または発現レベルに影響を及ぼし得るか、またはポリペプチドに対して何ら影響を及ぼさない配列変異型である多くの異なる「対立遺伝子」を有し得る。遺伝子は、連続したポリペプチドをコード化する核酸配列である、1つまたはそれより多い「読み枠」を含み得る。遺伝子は、内因的または外因的に存在し得る。] [0045] 本明細書で使用されている(例えばFarp2またはStk25の)「発現レベル」なる語は、生物試料中に存在する対応遺伝子から転写されたmRNAの量を指す。発現レベルは、対照試料からのレベルまたは対照試料の予測レベルとの比較を伴うかまたは伴わずに検出され得る。] [0046] 本明細書で使用されている「対照レベル」の語は、変化を測定するためのバイオマーカーの標準レベルをいう。一実施態様では、「対照レベル」は、正常または健康な細胞、組織または対象から、または正常または健康な細胞、組織または対象の集団からのバイオマーカー核酸発現、またはバイオマーカーポリペプチド、またはバイオマーカー生物活性の正常レベルであり得る。非限定的な例として、対照レベルは、正常細胞、組織または対象におけるFarp2またはStk25ポリペプチドまたは生物活性のレベル、または血漿総リポタンパク質またはHDLレベルであり得る。] [0047] 本明細書で使用されている(例えばFarp2またはStk25の)「対照発現レベル」なる語は、健康な対象の典型を示す生物試料中に存在する対応遺伝子から転写されたmRNAの量を指す。また、「対照発現レベル」なる語は、健康な対象からの測定値に基づいて先に確立された健康な集団の典型を示す確立されたmRNAレベルを意味し得る。] [0048] 本明細書で使用されている「検出する」とは、試料中における分子の存在または非存在を同定することをいう。検出すべき分子がポリペプチドである場合、検出段階は、例えば、検出可能な形で標識された抗体にポリペプチドを結合させることにより実施され得る。検出可能な標識は、刺激因子とは独立して、またはそれに応答して観察可能なシグナルを発し得る分子である。検出可能な標識は、限定されるわけではないが、蛍光性標識、色素原標識、発光標識または放射性標識であり得る。標識を「検出する」方法には、例えば、標準または共焦顕微鏡、FACS分析に適合させた定量的および定性的方法、およびマルチウェルプレート、アレイまたはマイクロアレイを伴うハイスループット方法に適合させた同方法がある。当業者であれば、所与の蛍光性ポリペプチドまたは色素からの蛍光放出検出に適切なフィルターセットおよび励起エネルギー供給源を選択し得るはずである。本明細書で使用されている「検出する」はまた、検出すべきポリペプチドに対する複数の抗体の使用を含み得、複数の抗体は、検出すべきポリペプチド上の異なるエピトープに結合する。この方法で使用される抗体は、2つまたはそれより多い検出可能な標識を利用し得、例えばFRET対を含み得る。検出可能なシグナルのレベルが検出可能な標識のバックグラウンドレベルより実際に大きいとき、または測定されたポリペプチドのレベルが対照試料で測定されたレベルよりも実際に大きい場合、ポリペプチド分子は本発明に従って「検出」される。] [0049] 本明細書で使用されている「検出する」はまた、例えば、直接的または間接的に標識された(血清試料中で標的とハイブリダイゼーションし得る)プローブ核酸分子により発せられるシグナルを測定または観察する方法により、標的核酸分子の存在を同定することをいう。プローブ核酸の検出は、標的核酸、例えばマーカー遺伝子をコード化する配列の存在を直接的に示すもの、すなわちその検出である。蛍光性、放射性および他の化学的標識を「検出する」ための方法および技術は、Ausubel et al.(1995, Short Protocols in Molecular Biology, 第3版、John Wiley and Sons, Inc.)により報告されている。] [0050] 別法として、ある部分を標的とハイブリダイゼーションするプローブ核酸に結合させ、その部分が、例えば、適切な基質の存在下において標的の検出を可能にする酵素活性、または抗体または他の特異的指標の付加による検出を可能にする特異的抗原または他のマーカーを含んでいる、核酸は「間接的に検出され」得る。別法として、標的核酸分子は、標的核酸配列の一部分とハイブリダイゼーションするように特異的に設計されたオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、患者臨床試料から調製された核酸試料を増幅することにより検出され得る。また、定量的増幅方法、例えば、限定されるわけではないが、TaqMan(登録商標)を用いて、本発明による標的核酸を「検出する」ことも可能である。(例えば定量的PCRにより)測定された核酸のレベル、または検出可能な標識により提供された検出可能なシグナルのレベルがバックグラウンドレベルより実際に上である場合、核酸分子は本明細書で使用されているとおり「検出される」。] [0051] さらに、本明細書で使用されている「検出する」は、対象におけるアテローム性動脈硬化症などのCADの少なくとも早期検出を指し、「早期」検出とは、好ましくは症状が目に見える時点より前の初期段階でCADを検出することを指す。さらに、本明細書で使用されている「検出する」は、上記で示したのと同一の検出基準を用いることによる対象におけるCAD再発の検出を指す。さらに、本明細書で使用されている「検出する」は、治療用化合物での処置の前後におけるCADの程度の変化の測定を指す。この場合、治療用化合物に応答したCADの程度の変化は、治療用化合物の非存在下での発現レベルに対して治療用化合物の存在に応答した、臨床試料中に提示された1つまたはそれより多いマーカー遺伝子の発現、または別法としてマーカー遺伝子ポリペプチドの量の少なくとも約10%の割合の増加または減少を指す。] [0052] 本明細書で使用されている「抗体」の語は、無傷の抗体またはその抗原結合フラグメント(すなわち、「抗原結合部分」)または単鎖(すなわち、軽または重鎖)を指す。無傷の抗体は、ジスルフィド結合により相互連結された少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書では略してVH)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書では略してVL)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLを含む。さらにVHおよびVL領域は、間にフレームワーク領域(FR)と呼ばれる保存性の高い領域が散在した、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域に分けられ得る。各VHおよびVLは、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4という順序でアミノ末端からカルボキシ末端に配置された3つのCDRおよび4つのFRを含む。重および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(C1q)を含む、宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を仲介し得る。] [0053] 本明細書で使用されている抗体の「抗原結合部分」の語は、所与の抗原への特異的な結合能を保持している無傷抗体の1つまたは複数のフラグメントを指す。抗体の抗原結合機能は、無傷抗体のフラグメントにより遂行され得る。抗体の「抗原結合部分」なる語に包含される結合フラグメントの例としては、Fabフラグメント、VL、VH、CLおよびCH1ドメインから成る1価フラグメント;F(ab)2フラグメント、ヒンジ領域でジスルフィド架橋により結合された2つのFabフラグメント(一般的に重鎖から1つおよび軽鎖から1つ)を含む2価フラグメント;VHおよびCH1ドメインから成るFdフラグメント;抗体の単一アームのVLおよびVHドメインから成るFvフラグメント;VHドメインから成る単一ドメイン抗体(dAb)フラグメント(Ward et al., 1989 Nature 341:544-546);および単離された相補性決定領域(CDR)がある。] [0054] さらに、Fvフラグメントの2つのドメインVLおよびVHは、別々の遺伝子によりコードされるが、それらは、VLおよびVH領域が対合して1価分子(単鎖Fv(scFv)としても知られている;例えば、Bird et al., 1988 Science 242:423-426;およびHuston et al., 1988 Proc. Natl. Acad. Sci. 85:5879-5883 参照)を形成している単タンパク質鎖としてそれらを構成させ得る人工ペプチドリンカーによる組換え技法を用いて連結され得る。上記の単鎖抗体は、抗体の1つまたは複数の「抗原結合部分」を含む。当業者に周知の慣用的技術を用いてこれらの抗体フラグメントを得、無傷抗体の場合と同様にして上記フラグメントを有用性についてスクリーニングにかける。] [0055] 抗原結合部分はまた、単一ドメイン抗体、マキシボディ、ミニボディ、細胞内発現抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、v−NARおよびbis−scFvに組み込まれ得る(例えば、Hollinger および Hudson, 2005, Nature Biotechnology, 23, 9, 1126-1136 参照)。抗体の抗原結合部分は、フィブロネクチンIII型(Fn3)などのポリペプチドに基づいたスカホールドに移植され得る(フィブロネクチンポリペプチドモノボディについて記載している米国特許第6703199号参照)。] [0056] 抗原結合部分は、相補的軽鎖ポリペプチドと一緒になって、一対の抗原結合領域を形成する一対のタンデムFvセグメント(VH−CH1−VH−CH1)を含む単鎖分子に組み込まれ得る(Zapata et al., 1995 Protein Eng. 8(10):1057-1062;および米国特許第5641870号)。] [0057] 「サイレンス」および「の発現を阻害する」という表現は、それらが標的遺伝子、例えばFarp2またはStk25について用いられている限り、本明細書では、Farp2またはStk25遺伝子が転写され、Farp2またはStk25遺伝子の発現が阻害されるように処理が為された第1細胞または細胞群から単離され得るFarp2またはStk25遺伝子から転写されたmRNAの量を、第1細胞または細胞群と実質的に同一であるが、上記の処理は為されていない第2細胞または細胞群(対照細胞)の場合と比較したときの量の縮小により証明される、Farp2またはStk25遺伝子発現の少なくとも部分的な抑制をいうものとする。阻害の程度は通常下式で表される。] [0058] 別法として、阻害の程度は、Farp2またはStk25遺伝子転写に機能的に結びついたパラメーター、例えば細胞により分泌されるFarp2またはStk25遺伝子によりコード化されるタンパク質の量、またはある種の表現型を呈する細胞数の縮小によって与えられ得る。原則として、Farp2またはStk25遺伝子サイレンシングは、構成的またはゲノム遺伝子操作により標的を発現する細胞において、適切な検定法により測定され得る。] [0059] 本発明の英文明細書(特に請求の範囲の部分で)で使用されている冠詞「a」、「an」、「the」および本明細書で使用されている同様の語は、本明細書において特に断らなければ、または明らかに文脈と矛盾するものでなければ、単数および複数の両方の場合を包含するものと見なす。本明細書では値の範囲を列挙しているが、これは単にその範囲内に含まれる各独立値を個々に示す手短な方法としての役割を果たしているのに過ぎない。本明細書において特に断らなければ、個々の各値は、それが明細書において個々に列挙されているがごとく、明細書に組み入れられているものとする。本明細書記載の方法は全て、特に断らなければ、または文脈と明らかに矛盾するものでなければ、任意の適切な順序で実施され得る。本明細書に記載された全ての例または例示的な表現(例えば、「例えば、など」)の使用は、本発明をよりわかり易くすることを意図しているのに過ぎず、別の形で請求された発明の範囲に限定を設けるものではない。本明細書中で、本発明の実施に不可欠な請求外の要素を示すものとしてみなされるべき表現は一切無いものとする。] [0060] 本発明は、Farp2およびStk25が、CADの発症および進行と相関関係をなすレベルである、血漿総リポタンパク質およびHDLのレベルを調節するという驚くべき新発見に基づいている。特に、遺伝子産物の発現および活性を改変するFarp2の対立遺伝子は、HDLレベルを増加させる。したがって、本発明の一態様は、FARP2、STK25および関連遺伝子および遺伝子産物(例えば、ホモログおよびオーソログ、例えば、ヒトオーソログ)の発現および/または活性を改変する化合物の同定方法を提供する。本発明の別の態様は、CADの発症、進行または退縮をモニターするか、またはCADの処置における化合物の効力を評価するためのバイオマーカーとしてのFARP2、STK25およびそのオーソログの使用に関する。] [0061] スクリーニング検定法 一態様において、本発明は、FARP2、STK25およびそのホモログおよびオーソログの活性または発現を改変することにより、HDL−Cの血漿レベルを増加させる化合物のスクリーニング(同定)方法を提供する。スクリーニングは、例えば、FARP2またはSTK25遺伝子産物を含む生物試料と化合物を接触させ、FARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)の活性に対する化合物の効果をモニターするか、FARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)の発現をモニターするか、または試料中のリポタンパク質およびHDL−Cレベルに対する化合物の効果をモニターすることにより実施され得る。Farp2またはStk25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)は、内因性または外因性核酸分子(例えば、適切な読み枠を含む内因性遺伝子または外因性ベクター)またはポリペプチドまたはその機能性フラグメントの形態であり得る。] [0062] 総血漿リポタンパク質またはHDL−Cレベルのモジュレーションに対する化合物の効果は、例えばFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)の活性のモジュレーションによるものである。活性のモジュレーションは、限定されるわけではないが、1)ポリペプチドまたはその機能性フラグメントによるHDL分解の阻害または阻止、2)ポリペプチドまたはその機能性フラグメントの分解または分解の誘導、3)ポリペプチドまたはその機能性フラグメントの生物活性の不活化、4)核酸分子の発現の縮小または阻害、および5)核酸分子の分解または脱安定化を含み得る。] [0063] HDLに対する化合物の効果の測定を目的とする場合、化合物を投与していない並行試料についても対照としてモニターする。次いで、処理および未処理試料を、限定されるわけではないが、顕微鏡分析、生存能試験、複製能力、組織検査、特定RNAまたはポリペプチドまたはその複合体のレベル、酵素活性のレベル、および他の細胞または化合物と相互作用する細胞の能力などを含む適切な表現型基準により比較する。処理および未処理細胞間の差異は、化合物に起因すると考えられる効果を示す。一実施態様において、化合物は、少なくとも約10%、約20%、約30%、約50%、約70%、約90%、約100%、約150%、約200%またはそれを超える率での活性の阻害または総血漿リポタンパク質またはHDL−Cレベルのモジュレーションについて同定され得る。スクリーニング方法は、1)HDLおよびFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)の適切な供給源を含む第1生物試料と化合物を接触させ、第1生物試料中におけるHDLのレベルを測定し、3)第2生物試料中におけるHDLのレベルを測定し、ただし、第2生物試料は化合物に暴露されていないものとし、そして4)2)からのHDLレベルが、3)からのHDLレベルと比べて少なくとも約1.5倍である化合物を選択する段階を含む。] [0064] 一実施態様において、スクリーニング検定法は、HDLおよび適切なFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)を含む無細胞生物試料を、化合物と接触させ、総血漿リポタンパク質またはHDL−Cレベルをモジュレーションする化合物の能力を測定する無細胞検定法である。HDLレベルの測定方法は、当業界では周知である(Sugiuchi, et al. Clin. Chem., 41:717-723, 1995; Izawa et al., J. Med. Pharm. Sci., 37:1385-1388, 1997)。] [0065] 本明細書記載の無細胞スクリーニング検定法の場合、適切なFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)ポリペプチドまたはその機能性フラグメントは、生物試料そのものに含有されるか、または他の供給源から生物試料中に添加され得る。例えば、ポリペプチドまたはその機能性フラグメントは、市販されているか、または適切な生物学的供給源、例えば培養細胞からかなりの量で精製され得る。別法として、タンパク質は、同じく当業界では周知のとおり、適切な原核生物または真核生物発現系での発現により単離遺伝子またはcDNAから遺伝子組換えにより製造され、その後に精製され得る。同様に、HDLは、生物試料それ自体に含有され得るか、または他の供給源から生物試料中に添加され得る。HDLは、完全に単離または部分的に単離され得る。HDLの部分的または完全単離方法は、当業界では周知である(Havel et al., J. Clin. Invest., 43:1345-1353, 1955; Navab et al., J. Clin. Invest., 99:2005-2019, 1997; Carroll および Rudel, J. Lipid Res., 24:200-207, 1983, McNamara et al., Clin. Chem., 40:233-239, 1994, Grauholt et al., Scandinavian J. Clin. Lab. Invest., 46:715-721, 1986; Warnick et al., Clin. Chem., 28:1379-1388, 1982; Talameh et al., Clin. Chimica Acta, 158:33-41, 1986)。] [0066] 別の実施態様では、スクリーニング検定法は、インビボスクリーニング検定法である。インビボスクリーニング検定法をヒト以外の動物で実施することにより、動物においてHDLの分解を効果的に阻害、縮小または遅延させる化合物を発見することができる。非限定的な一例では、化合物を、適量の時間適切な用量で、所望により高脂肪食餌摂取後でもよいヒト以外の動物に投与する。次いで、動物から採血し、血漿リポタンパク質を単離し、当業界で公知の方法によりHDLレベルを測定する。化合物で処置した動物におけるHDLレベルの増加を、化合物で処置しなかった動物におけるHDLレベルと比較したところ、この化合物は、例えばFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)の活性を阻害することにより、動物において総血漿リポタンパク質および/またはHDL−Cのレベルをモジュレーションすることが示された。好ましくは、増加は少なくとも約1.5倍である。また好ましくは、化合物は、動物における総血漿リポタンパク質および/またはHDL−Cのレベルを少なくとも約10%、約20%、約30%、約50%、約70%、約90%、約100%、約150%、約200%またはそれを超える率でモジュレーションする。] [0067] 所望により、動物に投与する前に、化合物を本明細書記載の無細胞スクリーニング検定法または細胞に基づくスクリーニング検定法によるプレ-スクリーニングにかけることも可能である。] [0068] 細胞に基づくスクリーニング検定法では、適切なFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)またはその機能性フラグメント(複数も可)を発現する細胞を、化合物と接触させ、化合物が活性をモジュレーションする能力を測定する。活性をモジュレーションする化合物の能力の測定は、適切な基質についてのFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)の生物活性、例えば触媒/酵素活性を評価することにより、化合物が呈するFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)への結合能力またはそれとの相互作用能力を評価することにより、検出可能なマーカーをコード化する核酸に機能し得るように結合された応答性エレメントを含むリポーター遺伝子の誘導を評価することにより、または適切に調節された細胞性応答、例えばシグナル伝達またはタンパク質/タンパク質相互作用を評価することにより実施され得る。細胞は、哺乳類細胞、昆虫細胞、細菌細胞または酵母細胞などであり得る。] [0069] 本発明の別の態様は、上記スクリーニング検定法から得られる化合物に関する。化合物は、化学的化合物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、非免疫グロブリン結合スカホールドまたは抗体であり得る。] [0070] 抗体 一実施態様では、本発明は、抗体を用いることによるHDL核酸およびポリペプチドレベルのモジュレーションに関する。抗体としては、限定されるわけではないが、ポリクローナル、モノクローナル、多重特異性、ヒト、ヒト化またはキメラ抗体、単鎖抗体、Fabフラグメント、Fvフラグメント、F(ab’)フラグメント、Fab発現ライブラリーにより生成されるフラグメント、抗イディオタイプ抗体または他のエピトープ結合ポリペプチドを挙げることができる。本発明抗体は、単一特異性、二重特異性、三重特異性、またはそれ以上の多重特異性であり得る。好ましくは、マウスES1またはヒトCES1ポリペプチドの検出に関して本発明で有用な抗体は、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)、Fd、単鎖抗体またはFvを含む、ヒト抗体またはそのフラグメントである。本発明で有用な抗体は、完全重または軽鎖定常領域またはその一部分を含むか、またはそれが欠如している場合もあり得る。一実施態様において、本発明で有用な抗体は、ヒト抗体と緊密に類似するようにアミノ酸が非抗原結合領域で置換されているが、元の結合能は依然として保持しているヒト化抗体であり得る。ヒト化抗体の製造方法は、当業界では公知である(Teng et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80:7308-7312, 1983; Kozbor et al., Immunology Today, 4:7279, 1983; Olsson et al., Meth. Enzymol., 92:3-16, 1982;国際公開第92/06193号; および欧州特許第0239400号)。] [0071] 実施態様によっては、FarpまたはStkポリペプチドに結合する抗体の抗原結合部分、(例えば、VHおよびVL鎖)が、「混合および対合」され、他の抗FarpまたはStk結合分子を作製し得る。上記の「混合および対合」抗体の結合は、結合検定法(例えば、ELISA)を用いて試験され得る。VHを選択して特定のVL配列と混合および対合させるとき、典型的にはそのVHと構造上類似したVHを選択し、それをそのVLとの対合で置き換える。同様に、特定の完全長重鎖/完全長軽鎖対合からの完全長重鎖配列は、一般的に構造上類似した完全長重鎖配列と置換される。同様に、特定のVH/VL対合からのVL配列は、当然構造上類似したVL配列と置換される。同様に、特定の完全長重鎖/完全長軽鎖対合からの完全長軽鎖配列は、構造上類似した完全長軽鎖配列により置換されるべきである。上記における構造類似性の同定は、当業界では公知のプロセスである。] [0072] 抗体の可変領域または完全長鎖が配列供給源としてヒト生殖系免疫グロブリン遺伝子を用いる系から得られる場合、ヒト抗体は、特定の生殖系配列「の産物」であるかまたはそこ「から誘導される」重または軽鎖可変領域または完全長重または軽鎖を含む。かかる一系では、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子をもつトランスジェニックマウスで産生される。トランスジェニックを、興味の対象である抗原(例えば、FarpまたはStkポリペプチドのエピトープ)で免疫化する。] [0073] ヒト生殖系免疫グロブリン配列「の産物」であるかまたはそこ「から誘導される」ヒト抗体は、ヒト抗体のアミノ酸配列をヒト生殖系免疫グロブリンのアミノ酸配列と比較し、ヒト抗体の配列と配列が非常に近似した(すなわち、最大同一性%の)ヒト生殖系免疫グロブリン配列を選択することによりそれ自体同定され得る。特定のヒト生殖系免疫グロブリン配列「の産物」であるかまたはそこ「から誘導される」ヒト抗体は、例えば、天然に存在する体細胞突然変異または人工的位置指定突然変異導入に起因する、生殖系コード化配列との比較におけるアミノ酸差異を含み得る。しかしながら、選択されたヒト抗体は、典型的にはヒト生殖系免疫グロブリン遺伝子によりコード化されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有し、他種(例えば、ネズミ生殖系配列)の生殖系免疫グロブリンアミノ酸配列との比較に際しヒト由来であるものとしてヒト抗体を同定するアミノ酸残基を含む。ある種の場合、ヒト抗体は、生殖系免疫グロブリン遺伝子によりコード化されるアミノ酸配列と少なくとも60%、70%、80%、90%または少なくとも95%またはさらに少なくとも96%、97%、98%または99%のアミノ酸配列同一性を示し得る。] [0074] ラクダ抗体 例えばラマ種(ラマ・パコス(Lama paccos)、ラマ・グラマ(Lama glama)およびラマ・ビクグナ(Lama vicugna))などの新世界要員を含む、ラクダおよびヒトコブラクダ(カメルス・バクトリアヌス(Camelus bactrianus)およびカレルス・ドロマデリウス(Calelus dromaderius))ファミリーの要員から得られる抗体タンパク質は、サイズ、構造複雑度およびヒト対象に対する抗原性に関して特性確認されている。この哺乳類ファミリーで天然に見出されるある種のIgG抗体は、軽鎖を欠くため、他の動物からの抗体に典型的な2つの重鎖および2つの軽鎖を有する4つの鎖の4次構造とは構造的に区別される。国際公開第94/04678号参照。] [0075] VHHとして同定された小さな単一可変ドメインであるラクダ抗体の領域を遺伝子工学技術により作製して、標的に対し高い親和力を有する小タンパク質を生成することにより、「ラクダナノボディ」として知られる低分子量抗体由来タンパク質が得られる。米国特許第5759808号参照;また、Stijlemans et al., 2004 J. Biol. Chem. 279: 1256-1261; Dumoulin et al., 2003 Nature 424: 783-788; Pleschberger et al., 2003 Bioconjugate Chem. 14: 440-448; Cortez-Retamozo et al., 2002 Int. J. Cancer 89: 456-62; および Lauwereys. et al., 1998EMBO J. 17: 3512-3520 も参照。ラクダ抗体および抗体フラグメントの遺伝子工学的ライブラリーは、例えばAblynx(ゲント、ベルギー国)から市販されている。ヒト以外に由来する他の抗体の場合と同様、ラクダ抗体のアミノ酸配列を組換え技法で改変することにより、ヒト配列とより密接に類似した配列を得ることも可能である、すなわち、ナノボディの「ヒト化」が可能である。したがって、ヒトに対するラクダ抗体の天然の低抗原性はさらに低減化され得る。] [0076] ラクダナノボディは、ヒトIgG分子の約10分の1の分子量を有し、このタンパク質は僅か数ナノメートルの物理的直径を有する。サイズが小さいことによる一つの結果は、ラクダナノボディが、大きな抗体タンパク質では機能的に見えないほど小さい抗原部位へ結合できることである、すなわち、ラクダナノボディは、古典的免疫学的技術を用いても普通なら曖昧なものである抗原を検出するための試薬として、また可能性のある治療剤として有用である。すなわち、サイズが小さいことによるさらに別の結果は、ラクダナノボディが、標的タンパク質の溝または狭い裂け目にある特異的部位へ結合することにより阻害し得、このため、古典的抗体の場合よりも古典的低分子量薬物の機能とさらに密接に類似した受容力で役割を果たし得ることである。] [0077] さらに、低分子量および小型サイズであることから、ラクダナノボディは、非常に熱安定性が高く、極端なpHおよびタンパク質分解的消化にも安定性を示し、抗原性も乏しい。別の結果は、ラクダナノボディが、循環系から組織中へ容易に移動し、そして血液脳関門さえも通過するため、神経組織に影響を及ぼす疾患を処置し得ることである。さらにナノボディにより、血液脳関門を超える薬物輸送を容易にする。2004年8月19日付公開の米国特許公開第20040161738号参照。これらの特徴をヒトでの低抗原性と組み合わせると、多大な治療的可能性が期待される。さらに、これらの分子は、大腸菌(E.coli)などの原核生物細胞で十分に発現され得る。ラクダ抗体も、本発明の範囲内に含まれるものとする。したがって、本発明の一つの特徴は、FarpまたはStkポリペプチドについての高い親和力を有するラクダ抗体またはラクダナノボディである。] [0078] ダイアボディ ダイアボディは、VHおよびVLドメインが、単一ポリペプチド鎖で発現される2価の二重特異性分子であり、これらは同一鎖において2つのドメイン間で対を形成させるには短すぎるリンカーにより結合されている。VHおよびVLドメインは、別の鎖の相補性ドメインと対をなすことにより、2つの抗原結合部位を形成する(例えば、Holliger et al., 1993 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448; Poljak et al., 1994 Structure 2:1121-1123 参照)。ダイアボディは、同一細胞内で構造VHA−VLBおよびVHB−VLA(VH−VL立体配置)、またはVLA−VHBおよびVLB−VHA(VL−VH立体配置)を有する2本のポリペプチド鎖を発現させることにより製造され得る。それらのほとんどは、細菌において可溶性形態で発現され得る。] [0079] 単鎖ダイアボディ(scDb)は、2本のダイアボディ形成ポリペプチド鎖を約15アミノ酸残基のリンカーで連結することにより製造される(Holliger and Winter, 1997 Cancer Immunol. Immunother., 45(3-4):128-30; Wu et al., 1996 Immunotechnology, 2(1):21-36 参照)。scDbは、細菌において可溶性活性モノマー形態で発現され得る(Holliger and Winter, 1997 Cancer Immunol. Immunother., 45(34): 128-30; Wu et al., 1996 Immunotechnology, 2(1):21-36; Pluckthun and Pack, 1997 Immunotechnology, 3(2): 83-105; Ridgway et al., 1996 Protein Eng., 9(7):617-21 参照)。ダイアボディをFcと融合させることにより、「ジ−ダイアボディ(di-diabody)」が生成され得る(Lu et al., 2004 J. Biol. Chem., 279(4):2856-65参照)。] [0080] 遺伝子操作されたおよび修飾された抗体 出発材料として1つまたは複数のVHおよび/またはVL配列を有する抗体を用いて本発明の抗体を製造することにより、遺伝子工学的に修飾された抗体が作製され得、その修飾された抗体は、出発抗体から改変された特性を有し得る。抗体は、一方または両方の可変領域(すなわち、VHおよび/またはVL)内、例えば1つまたはそれより多いCDR領域内および/または1つまたはそれより多いフレームワーク領域内における1つまたはそれより多い残基を修飾することにより遺伝子工学的に作製され得る。さらに、または別法として、抗体は、定常領域(複数も可)内の残基に修飾を加えることにより、例えば抗体のエフェクター機能(複数も可)を改変するように遺伝子工学的に作製され得る。] [0081] 実施され得る可変領域遺伝子操作の一つのタイプは、CDRグラフト技術である。抗体は、主に6つの重および軽鎖CDRに位置するアミノ酸残基を通して標的抗原と相互作用する。この理由により、CDR内のアミノ酸配列は、CDRの外側の配列よりも個々の抗体間で高い多様性を示す。CDR配列はほとんどの抗体−抗原相互作用に関与するため、異なる特性をもつ異なる抗体からフレームワーク配列へグラフトされた特異的な天然抗体からのCDR配列を含む発現ベクターを構築することにより、特異的な天然抗体の特性を模倣する組換え抗体を発現させることが可能である(例、Riechmann et al., 1998 Nature 332:323-327; Jones et al., 1986 Nature 321:522-525; Queen et al., 1989 Proc. Natl. Acad. See. U.S.A. 86:10029-10033; 米国特許第5225539号および米国特許第5530101、5585089、5693762および6180370号参照)。] [0082] フレームワーク配列は、生殖系抗体遺伝子配列を含む公開DNAデータベースまたは公開された参考文献から入手され得る。例えば、ヒト重および軽鎖可変領域遺伝子についての生殖系DNA配列は、「VBase」ヒト生殖系配列データベース(インターネットで利用可能、www.mrc- cpe.cam.ac.uk/vbase)および Kabat et al., 1991 Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版、米国保健福祉省、NIH公開第91-3242号; Tomlinson et al., 1992 J. Mol. Biol. 227:776-798; および Cox et al., 1994 Eur. J. Immunol. 24:827-836 において見つけることができ、これらの内容については、出典明示で援用する。] [0083] VHCDR1、2および3配列およびVL CDR1、2および3配列は、フレームワーク配列が誘導される生殖系免疫グロブリン遺伝子で見いだされるのと同一の配列を有するフレームワーク領域へグラフトされ得るか、またはCDR配列は、生殖系配列と比べて1つまたは複数の突然変異を含むフレームワーク領域へグラフトされ得る。例えば、ある一定の場合には、フレームワーク領域内における残基に突然変異を導入して、抗体の抗原結合能力を維持または高めるのが有益であることが見出された(例えば、米国特許第5530101、5585089、5693762および6180370号参照)。] [0084] CDRはまた、免疫グロブリンドメイン以外のポリペプチドのフレームワーク領域へグラフトされ得る。適切なスカホールドは、グラフト残基が局在化した表面を形成し、興味の対象である標的と結合するようにそれらを提示する立体配座的に安定したフレームワークを形成する。例えば、CDRは、フレームワーク領域が、フィブロネクチン、アンキリン、リポカリン、ネオカルジノスタイン、シトクロムb、CP1亜鉛フィンガー、PST1、超らせん、LACI−D1、Zドメインまたはテンドラミサット(tendramisat)に基づいているスカホールドへグラフトされ得る(例えば、Nygren および Uhlen, 1997 Current Opinion in Structural Biology, 7, 463-469参照)。] [0085] 可変領域修飾の別のタイプは、VHおよび/またはVLCDR1、CDR2および/またはCDR3領域内におけるアミノ酸残基への突然変異導入であり、それにより「親和性成熟」として知られる、興味の対象である抗体の1つまたは複数の結合特性(例えば、親和性)が改善される。位置指定突然変異導入またはPCRを通した突然変異誘発を実施することにより、突然変異(複数も可)が導入され得、抗体結合または興味の対象である他の機能的特性に対する効果を、本明細書記載のインビトロまたはインビボ検定法で評価することができる。保守的修飾が導入され得る。突然変異は、アミノ酸置換、付加または欠失であり得る。さらに、典型的には、CDR領域内における多くて1、2、3、4または5の残基が改変される。] [0086] 本発明の遺伝子操作された抗体には、例えば抗体の特性を改善するように、VHおよび/またはVL内のフレームワーク残基に修飾が加えられたものがある。典型的には、上記フレームワーク修飾は、抗体の免疫原性を減らすように行われる。例えば、一方法は、1つまたは複数のフレームワーク残基を対応する生殖系配列に「復帰突然変異させる」ことである。さらに具体的には、体細胞突然変異が誘発された抗体は、抗体が由来する生殖系配列とは異なるフレームワーク残基を含み得る。上記残基は、抗体フレームワーク配列を、抗体が由来する生殖系配列と比較することにより同定され得る。フレームワーク領域配列をそれらの生殖系立体配置に戻すために、体細胞突然変異を、例えば位置指定突然変異導入またはPCRを通した突然変異誘発により生殖系配列に「復帰突然変異」させることが可能である。上記「復帰突然変異」抗体もまた、本発明に包含されるものとする。] [0087] フレームワーク修飾の別のタイプでは、フレームワーク領域内、または1つまたは複数のCDR領域内における1つまたは複数の残基に突然変異を誘発することにより、T細胞エピトープを除去し、抗体の潜在的免疫原性を低下させる。この方法は、「脱免疫化」とも称され、Carr et al.による米国特許公開第20030153043号に詳述されている。] [0088] フレームワークまたはCDR領域内に行われる修飾に加えて、またはそれに代わるものとして、本発明の抗体の場合、遺伝子工学技術によりFc領域内に修飾を加え、典型的には抗体の1つまたは複数の機能的特性、例えば血清半減期、補体固定、Fc受容体結合および/または抗原依存的細胞傷害性を改変させることも可能である。さらに、本発明の抗体を化学的に修飾するか(例えば、1つまたは複数の化学的部分を抗体に結合させ得る)、またはそのグリコシル化を改変して、再び抗体の1つまたは複数の機能的特性を改変するように修飾することも可能である。] [0089] 一実施態様では、CH1のヒンジ領域におけるシステイン残基の数を改変する、すなわち増加または減少させるように、ヒンジ領域を修飾する。この方法は、Bodmer et al.による米国特許第5677425号に詳述されている。CH1のヒンジ領域におけるシステイン残基の数を改変することにより、例えば軽および重鎖の会合を促進するか、または抗体の安定性を増加または減少させる。] [0090] 別の実施態様では、抗体のFcヒンジ領域に突然変異を導入して、抗体の生物学的半減期を減少させる。さらに具体的には、抗体が、天然Fc−ヒンジドメインブドウ球菌(スタフィロコッカス(Staphylococcyl))プロテインA(SpA)結合と比べて低下したSpA結合性を示すように、1つまたは複数のアミノ酸突然変異をFc−ヒンジフラグメントのCH2−CH3ドメイン界面領域に導入する。この方法は、Ward et al.による米国特許第6165745号で詳細に記載されている。] [0091] 別の実施態様では、抗体にその生物学的半減期を増すように修飾を加える。様々な方法が可能である。例えば、米国特許第6277375号は、そのインビボ半減期を増加させるIgGにおける次の突然変異:T252L、T254S、T256Fについて報告している。別法として、Presta et al.による米国特許第5869046および6121022号に記載されているように、生物学的半減期を増加させるために、抗体は、IgGのFc領域のCH2ドメインの2つのループから取り出したサルベージ受容体結合エピトープを含むようにCH1またはCL領域内で改変され得る。] [0092] さらに他の実施態様では、少なくとも1個のアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基と置換してFc領域を改変することにより、抗体のエフェクター機能を改変させる。例えば、抗体が、エフェクターリガンドについての親和性が改変されているが、親抗体の抗原結合能は保持しているように、1個または複数のアミノ酸を異なるアミノ酸残基と置換することができる。親和性が改変されるエフェクターリガンドは、例えばFc受容体または補体系のC1成分であり得る。この方法は、両方ともWinter et al.による米国特許第5624821および5648260号で詳細に報告されている。] [0093] 別の実施態様では、抗体においてC1q結合性が改変されるか、そして/または補体依存的細胞傷害性(CDC)が低減化または排除されるように、アミノ酸残基から選択された1個または複数のアミノ酸を異なるアミノ酸残基と置換することも可能である。この方法は、Idusogie et al. による米国特許第6194551号で詳細に記載されている。] [0094] 別の実施態様では、1個または複数のアミノ酸残基を改変することにより、抗体の補体固定能力を改変させる。この方法は、Bodmer et al. による国際公開第94/29351号に詳述されている。] [0095] さらに別の実施態様では、抗体の抗体依存的細胞介在性細胞傷害活性(ADCC)の伝達能を高めるか、そして/または1個または複数のアミノ酸を修飾することによりFcγ受容体に関する抗体の親和性を増加させるようにFc領域を修飾する。この方法は、Presta による国際公開第00/42072号に詳述されている。さらに、FcγR1、FcγRII、FcγRIIIおよびFcRnについてのヒトIgG1での結合部位は既にマッピングされており、結合性が改善された変異型が報告されている(Shields, R.L. et al., 2001 J. Biol. Chem. 276:6591-6604 参照)。] [0096] さらに別の実施態様では、抗体のグリコシル化を修飾する。例えば、アグリコシル化抗体が作製され得る(すなわち、抗体はグリコシル化を欠く)。グリコシル化は、例えば抗原に対する抗体の親和性を高めるように改変され得る。上記炭水化物修飾は、例えば、抗体配列内における1つまたは複数のグリコシル化部位を改変することにより達成され得る。例えば、1つまたは複数の可変領域フレームワークグリコシル化部位の排除をもたらす1つまたは複数のアミノ酸置換を行うことにより、その部位でのグリコシル化が排除され得る。上記アグリコシル化により、抗原に対する抗体の親和性が高められ得る。上記方法は、Co et al. による米国特許第5714350および6350861号でさらに詳細に報告されている。] [0097] さらに、または別法として、改変されたグリコシル化タイプを有する抗体、例えば低量のフコシル残基を有する低フコシル化抗体または高バイセクティングGlcNac構造を有する抗体が作製され得る。上記の改変されたグリコシル化パターンは、抗体のADCC能力を高めることが立証された。上記の炭水化物修飾は、例えばグリコシル化機構が改変された宿主細胞で抗体を発現させることにより達成され得る。グリコシル化機構が改変された細胞は、文献で報告されており、本発明の組換え抗体を発現させることによりグリコシル化が改変された抗体を産生させる宿主細胞として使用され得る。例えば、Hang et al. による欧州特許第1176195号は、フコシルトランスフェラーゼをコード化する、機能的に破壊されたFUT8遺伝子をもつセルラインに関するもので、結果的に上記セルラインで発現された抗体はフコシル化の低下を呈することを報告している。Presta によるPCT国際公開第03/035835号は、Asn(297)−結合炭水化物へのフコース結合能が低下した変異型CHOセルライン、Lec13細胞に関するもので、この場合も、その宿主細胞で発現された抗体がフコシル化の低下を呈することを報告している(また、Shields, R.L. et al., 2002 J. Biol. Chem. 277:26733-26740 も参照)。Umana et al. による国際公開第99/54342号は、糖タンパク質を修飾するグリコシルトランスフェラーゼ(例えば、ベータ(1,4)−NアセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII))を発現するように遺伝子操作されたセルラインに関するものであり、結果的に、遺伝子操作されたセルラインで発現された抗体はバイセクティングGlcNac構造の増大を呈するため、抗体のADCC活性を高めることを報告している(また、Umana et al., 1999 Nat. Biotech. 17:176-180 参照)。] [0098] 本発明により想到される本明細書の抗体の別の修飾は、ペグ化である。抗体をペグ化すると、例えば、抗体の生物学的(例えば、血清)半減期を増加させることができる。抗体をペグ化するために、典型的には、抗体またはそのフラグメントを、1つまたは複数のポリエチレングリコール(PEG)部分が抗体または抗体フラグメントに結合される条件下で、PEG、例えばPEGの反応性エステルまたはアルデヒド誘導体と反応させる。ペグ化は、反応性PEG分子(または類似反応性水溶性ポリマー)とのアシル化反応またはアルキル化反応により実施され得る。本明細書で使用されている「ポリエチレングリコール」の語は、モノ(C1−C10)アルコキシ−またはアリールオキシ−ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール−マレイミドなど、他のタンパク質の誘導体化に使用されてきたPEGのあらゆる形態を包含するものとする。ある種の実施態様では、ペグ化される抗体はアグリコシル化抗体である。タンパク質のペグ化方法は当業界では公知であり、本発明の抗体にも適用され得る。例えば、Nishimura et al.による欧州特許第0154316号およびIshikawa et al.による欧州特許第0401384号参照。] [0099] さらに、ペグ化は、非天然アミノ酸の導入により抗体の任意の部分で達成され得る。ある種の非天然アミノ酸は、Deiters et al., J Am Chem Soc 125:11782-11783, 2003; Wang および Schultz, Science 301:964-967, 2003; Wang et al., Science 292:498-500, 2001; Zhang et al., Science 303:371-373, 2004 または米国特許第7083970号に記載された技術により導入され得る。簡単に述べると、これらの発現系の中には、位置指定突然変異導入により、本発明のポリペプチドをコード化する読み枠へアンバーTAG等のナンセンスコドンを導入したものがある。次いで、上記発現ベクターを、導入されたナンセンスコドンに特異的なtRNAを利用し得る宿主に導入し、選択された非天然アミノ酸を負荷する。本発明のポリペプチドに該当部分をコンジュゲートする目的にとって有益な特定の非天然アミノ酸は、アセチレンおよびアジド側鎖を伴うものである。次いで、これらの新規アミノ酸を含むポリペプチドは、タンパク質におけるこれらの選択された部位でペグ化され得る。] [0100] 抗体の遺伝子操作方法 抗体に修飾を加えて、完全長重鎖および/または軽鎖配列、VHおよび/またはVL配列、またはそこに結合した定常領域(複数も可)を修飾することにより新たな抗体が作製され得る。例えば、抗体の1つまたは複数のCDR領域を、遺伝子組換え操作で既知フレームワーク領域および/または他のCDRと組み合わせることにより、新たな遺伝子組換え抗体を作製することができる。遺伝子操作方法についての出発材料は、1つまたは複数のVHおよび/またはVL配列、または1つまたは複数のそのCDR領域である。遺伝子組換え抗体を作製するために、1つまたは複数のVHおよび/またはVL配列、またはその1つまたは複数のCDR領域を有する抗体を実際に製造する(すなわち、タンパク質として発現させる)必要はない。むしろ、配列(複数も可)に含まれる情報を出発材料として使用することにより、元の配列(複数も可)由来の「第2世代」配列(複数も可)を作製し、次いで「第2世代」配列(複数も可)を調製し、タンパク質として発現させる。] [0101] 標準分子生物学技術を用いることにより、改変された抗体配列を調製および発現させることができる。改変された抗体配列(複数も可)によりコード化される抗体は、由来する所望の機能的特性の一つ、幾つかまたは全部を保持しているものである。改変された抗体の機能的特性は、当業界で利用可能および/または本明細書記載の標準検定法(例、ELISA)により評価され得る。] [0102] 本発明の抗体の遺伝子操作方法のある種の実施態様では、突然変異が抗体コーディング配列の全部または一部に沿って無作為的または選択的に導入され得る。例えば、Short によるPCT国際公開第02/092780号は、飽和突然変異誘発、合成的ライゲーションアセンブリまたはその組み合わせを用いた抗体突然変異の作製およびスクリーニング方法について記載している。別法として、Lazar et al. による国際公開第03/074679号は、コンピュータースクリーニング方法の使用により抗体の物理化学特性を最適化する方法について報告している。] [0103] 非抗体結合分子 さらに本発明は、抗体の機能的特性を呈するが、それらのフレームワークおよび抗原結合部分が他のポリペプチド(例えば、抗体遺伝子によりコード化されるかまたは抗体遺伝子のインビボ組換えにより作製されたもの以外のポリペプチド)由来である、結合分子を提供する。これらの結合分子の抗原結合ドメインは、定向進化過程を通して生成される。米国特許第7115396号参照。抗体の可変ドメインの場合と類似した全体的折りたたみ(「免疫グロブリン様」折りたたみ)を有する分子は、適切なスカホールドタンパク質である。抗原結合分子の生成に適切なスカホールドタンパク質には、フィブロネクチンまたはフィブロネクチン二量体、テナシン、N−カドヘリン、E−カドヘリン、ICAM、チチン、GCSF−受容体、サイトカイン受容体、グリコシダーゼ阻害剤、抗生物質色素タンパク質、ミエリン膜接着分子P0、CD8、CD4、CD2、IクラスMHC、T細胞抗原受容体、CD1、CD2およびVCAM−1のI−セットドメイン、ミオシン結合タンパク質CのI−セット免疫グロブリンドメイン、ミオシン結合タンパク質HのI−セット免疫グロブリンドメイン、テロキンのI−セット免疫グロブリンドメイン、NCAM、トウィッチン、ニューログリアン、成長ホルモン受容体、エリスロポイエチン受容体、プロラクチン受容体、インターフェロン−ガンマ受容体、β−ガラクトシダーゼ/グルクロニダーゼ、β−グルクロニダーゼ、トランスグルタミナーゼ、T細胞抗原受容体、スーパーオキシドジスムターゼ、組織因子ドメイン、シトクロムF、緑色蛍光タンパク質、GroELおよびソーマチンがある。] [0104] 非抗体結合分子の抗原結合ドメイン(例えば、免疫グロブリン様折りたたみ)は、10kD未満または7.5kDを超える分子量(例えば、7.5〜10kDの分子量)を有し得る。抗原結合ドメインの生成に使用されるタンパク質は、天然に存する哺乳類タンパク質(例えば、ヒトタンパク質)であり、抗原結合ドメインは、それが由来するタンパク質の免疫グロブリン様折りたたみと比較した場合50%以下(例えば、34%以下、25%、20%または15%)の割合で突然変異アミノ酸を含む。免疫グロブリン様折りたたみを有するドメインは、一般的に50〜150アミノ酸(例えば、40〜60アミノ酸)から成る。] [0105] 非抗体結合分子を作製するため、抗原結合表面を形成するスカホールドタンパク質の領域(例えば、抗体可変ドメイン免疫グロブリン折りたたみのCDRと位置および構造が類似した領域)における配列がランダム化されているクローンのライブラリーを作製する。ライブラリークローンを、興味の対象である抗原への特異的結合性および他の機能について試験する。選択されたクローンをさらなるランダム化および選択についての基礎として用いることにより、抗原に対する親和性がさらに高い誘導体を製造することができる。] [0106] 例えば、スカホールドとしてフィブロネクチンIIIの第10モジュール(10Fn3)を用いることにより、高親和性結合分子が作製される。残基23〜29、52〜55および78〜87にある10FN3の3つのCDR様ループのそれぞれについてライブラリーを構築する。各ライブラリーを構築するため、各CDR様領域と重複する配列をコード化するDNAセグメントをオリゴヌクレオチド合成によりランダム化する。選択可能な10Fn3ライブラリーの作製技術は、米国特許第6818418および7115396号; Roberts および Szostak, 1997 Proc. Natl. Acad. Sci USA 94:12297; 米国特許第6261804号; 米国特許第6258558号; および Szostak et al.国際公開第98/31700号に記載されている。] [0107] 非抗体結合分子を二量体または多量体として製造することにより、標的抗原についての結合活性を高めることができる。例えば、抗原結合ドメインは、Fc−Fc二量体を形成する抗体の定常領域(Fc)との融合体として発現される。例えば、米国特許第7115396号参照。] [0108] RNA干渉 アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的一次転写物(未プロセッシング転写物)またはmRNAの全部または一部と相補的なポリヌクレオチドであり、標的遺伝子の発現を遮断する(米国特許第5107065号、国際公開第9928508号)。アンチセンスオリゴヌクレオチドの相補性は、例えば5’非コーディング配列、3’非コーディング配列、またはコーディング配列での特異的な遺伝子転写物のいずれかの部分とのものであり得る。] [0109] siRNAは、短い干渉性RNAを指し、二重らせんにおけるRNA鎖のどちらかと相同的なmRNA配列を分解するように作用し、細胞、例えば哺乳類細胞(ヒト細胞を含む)および身体、例えば哺乳類の身体(人体を含む)において特異的な遺伝子の転写後サイレンシングを誘導し得る。RNA干渉現象は当業界では周知である(Bass, Nature, 411:428-29, 2001; Elbahir et al., Nature, 411:494- 98, 2001; Fire et al., Nature, 391:806-11, 1998; および国際公開第01/75164号)。本明細書で開示された遺伝子産物をコード化する配列および核酸に基づいたsiRNAは、典型的には100未満の塩基対を有し、例えば約30pbまたはそれより短いものであり得、相補性DNA鎖の使用または合成的方法を含む、当業界で周知の方法により作製され得る。siRNAは、干渉を誘導し得、細胞、例えば哺乳類細胞(ヒト細胞を含む)および身体、例えば哺乳類の身体(人体を含む)における特異的な遺伝子の転写後サイレンシングを誘導し得る。本発明による典型的siRNAは、29bp以下、25bp、22bp、21bp、20bp、15bp、10bp、5bpまたはその前後またはその間の整数値の塩基対を有し得る。最適な阻害性siRNAを設計するためのツールとしては、DNAengine Inc.(シアトル、ワシントン)およびAmbion, Inc.(オースチン、テキサス)から入手できるものが挙げられる。] [0110] また、2本鎖リボ核酸(dsRNA)分子も細胞または哺乳類における標的遺伝子(例えば、Farp2またはStk25)の発現阻害に使用され得、その場合dsRNAは、標的遺伝子の発現で形成されるmRNAの少なくとも一部分と相補的である相補性領域を含むアンチセンス鎖を含み、相補性領域は30未満のヌクレオチド長、一般的には19〜24ヌクレオチド長であり、dsRNAは、標的遺伝子を発現する細胞と接触したとき、標的遺伝子の発現を少なくとも10%、25%または40%阻害するものとする。] [0111] dsRNAは、ハイブリダイゼーションして二重らせん構造を形成するのに十分な程度相補的である2本のRNA鎖を含む。これら2鎖が、適切な条件下で組合わされたとき、ハイブリダイゼーションし、二重らせん構造を形成するように、dsRNAの一方の鎖(アンチセンス鎖)は、標的遺伝子の発現中に形成されるmRNAの配列由来の、標的配列と実質的に相補的、さらに一般的には完全に相補的である相補性領域を含み、他方の鎖(センス鎖)はアンチセンス鎖と相補的である領域を含むものとする。一般的に、二重らせん構造は、15ないし30、さらに一般的には18ないし25、さらに一般的には19ないし24、そして最も一般的には19ないし21塩基対の長さである。同様に、標的配列との相補性領域は、15ないし30、さらに一般的には18ないし25、さらに一般的には19ないし24、そして最も一般的には19ないし21ヌクレオチド長である。本発明のdsRNAは、さらに1つまたはそれより多い1本鎖ヌクレオチドオーバーハング(複数も可)を含み得る。dsRNAは、自動式DNA合成装置、例えばBiosearch, Applied Biosystems, Inc.から市販されている装置の使用による当業界で周知の標準方法により合成され得る。] [0112] 当業者であれば、20ないし23、特に21塩基対の二重らせん構造を含むdsRNAが、RNA干渉を誘導する上で特に有効であると認められていることを熟知しているはずである(Elbashir et al.,EMBO 2001, 20:6877-6888)。] [0113] さらに別の実施態様では、安定性を高めるためにdsRNAを化学的に修飾する。本発明の核酸は、当業界で十分に確立された方法、例えばCurrent Protocols in Nucleic Acid Chemistry, Beaucage, S.L. et al. (編), John Wiley & Sons, Inc.(ニューヨーク、ニューヨーク、米国)に記載された方法により合成および/または修飾され得、これについては、出典明示で援用する。化学的修飾としては、限定されるわけではないが、2’修飾、オリゴヌクレオチドの糖または塩基の他の部位での修飾、オリゴヌクレオチド鎖への非天然塩基の導入、リガンドまたは化学的部分への共有結合、およびチオリン酸基などの代替的結合によるヌクレオチド間リン酸結合の置換が挙げられる。複数の上記修飾が使用され得る。] [0114] 2本の別々のdsRNA鎖の化学的結合は、様々な公知技術のいずれかにより、例えば、共有結合、イオン結合または水素結合の導入、疎水性相互作用、ファンデルワールスまたはスタッキング相互作用、金属イオン配位手段またはプリン類似体の使用により達成され得る。一般的に、dsRNAの修飾に使用され得る化学基には、限定は無いが、メチレンブルー、二官能基、一般的にビス−(2−クロロエチル)アミン、N−アセチル−N’−(p−グリオキシルベンゾイル)シスタミン、4−チオウラシルおよびソラレンがある。一例では、リンカーは、ヘキサ−エチレングリコールリンカーである。この場合、dsRNAを固相合成により製造し、ヘキサ−エチレングリコールリンカーを標準的方法に従って組み込む(例えば、Williams, D.J., and K.B. Hall, Biochem. (1996) 35:14665-14670)。一実施態様では、アンチセンス鎖の5’−末端およびセンス鎖の3’−末端をヘキサエチレングリコールリンカーにより化学的に結合する。別の実施態様では、dsRNAの少なくとも1個のヌクレオチドは、ホスホロチオエートまたはホスホロジチオエート基を含む。dsRNAの末端における化学結合は、一般的に三重らせん結合により形成される。] [0115] さらに別の実施態様において、2本の単鎖のうちの一方または両方にあるヌクレオチドを修飾することにより、細胞性酵素、例えば、限定は無いが、ある種のヌクレアーゼ類の分解活性が阻止または阻害され得る。核酸に対する細胞性酵素の分解活性の阻害技術は、当業界では公知であり、例えば、限定されるわけではないが、2’−アミノ修飾、2’−アミノ糖修飾、2’−F糖修飾、2’−F修飾、2’−アルキル糖修飾、非荷電バックボーン修飾、モルホリノ修飾、2’−O−メチル修飾およびホスホルアミデートがある(例えば、Wagner, Nat. Med. (1995) 1:1116-8参照)。すなわち、dsRNAにおけるヌクレオチドの少なくとも1個の2’−ヒドロキシル基を、化学基、一般的には2’−アミノまたは2’−メチル基により置換する。また、少なくとも1個のヌクレオチドを修飾することにより、ロックト(locked)ヌクレオチドを形成させ得る。上記のロックトヌクレオチドは、リボースの2’−酸素をリボースの4’−炭素と結合するメチレン架橋を含む。ロックトヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドは、Koshkin, A.A., et al., Tetrahedron (1998), 54: 3607-3630) および Obika, S. et al., Tetrahedron Lett. (1998), 39: 5401-5404)で報告されている。オリゴヌクレオチドへのロックトヌクレオチドの導入により、相補的配列についての親和性が改善され、融解温度が数度高くなる(Braasch, D.A. and D.R. Corey, Chem. Biol. (2001), 8:1-7)。] [0116] バイオマーカーとしてのFARP2、STK25またはそのホモログ/オーソログの使用 一態様において、発現差があるFarp2またはStk25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)遺伝子の発現レベルを、正常およびCAD細胞および/または組織で測定する。一実施態様において、遺伝子(複数も可)の発現レベルの測定方法は、任意の効果的な順序で以下の段階の1つまたはそれ以上、例えばポリヌクレオチドプローブと生物試料を、上記プローブが上記試料中のFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)核酸分子と特異的にハイブリダイゼーションするのに有効な条件下で接触させ、上記試料中におけるFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)マーカー遺伝子核酸の存在または非存在を検出する段階を含み得る。また、明確で関連性のある多形を含む特異的な対立遺伝子も検出される。] [0117] 一実施態様では、正常およびCAD細胞および/または組織の両方から得られた試料にプローブを適用し、Farp2またはStk25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)核酸分子の存在を当業界で周知の方法により検出する。例えば、マーカー遺伝子の存在の検出方法は、有効な方法、例えばノーザン・ブロット分析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写酵素PCR、RACE PCR、in situハイブリダイゼーションなどにより実施され得る。] [0118] 別の実施態様では、正常およびCAD細胞および/または組織の両方から得られた試料にプローブを適用し、Farp2またはStk25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)核酸の量を当業界で周知の方法により検出する。上記方法は、例えばプローブと接触させ、ハイブリダイゼーションさせ、ハイブリダイゼーションしたプローブを検出する段階を含むが、さらに定量的な方法および/または標準との比較を使用し得る。プローブと標的間のハイブリダイゼーションの量は、適切な方法、例えばPCR、RT−PCR、RACE PCR、ノーザン・ブロット、ポリヌクレオチドマイクロアレイ、高速スキャン(Rapid-Scan)などにより測定され得、定量的および定性的測定値の両方を含む。] [0119] 別の実施態様では、FARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)特異的抗体を用いて、当業界で公知の方法により生物試料中におけるFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)またはそのフラグメント(複数も可)の存在を検出し得る。この方法には、少し例を挙げると、免疫検定法、例えばウエスタン・ブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合イムノソルベント検定法)、「サンドイッチ」免疫検定法、免疫沈降検定法、沈殿反応、ゲル内拡散沈降素反応、免疫拡散検定法、凝集検定法、補体固定化検定法、免疫放射線検定法、蛍光免疫検定法、プロテインA免疫検定法等の技術を用いる競合的および非競合的検定法系が含まれ得る。上記検定法は当業界では公知である(Ausubel et al.編、1994, Current Protocols in Molecular Biology, 第1巻 1, John Wiley & Sons, Inc.、ニューヨーク、これについては出典明示で援用する)。さらにまた、本発明で有用な免疫検定法としては、ホモジニアスおよびヘテロジニアスの両方法、例えば蛍光偏光免疫検定法(FPIA)、蛍光免疫検定法(FIA)、酵素免疫検定法(EIA)およびネフロメトリー阻害免疫検定法(NIA)などの方法が挙げられる。] [0120] 別の実施態様では、生物試料中におけるFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)ポリペプチドのレベルが、FARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)の発現レベルのモニター手段として測定され得る。かかる方法は、例えば、生物試料を入手し、FARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)ポリペプチドまたはその適切なエピトープに特異的な抗体と試料を接触させ、抗体との免疫複合体形成の量を測定する段階を含み、免疫複合体形成の量をFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)ポリペプチドのレベルの指標とする。CADに罹患した対象から入手した生物試料中におけるFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)ポリペプチドレベルを、正常対象から採取した生物試料中、または同一対象から予め、または後続的に入手した1つまたは複数の試料中のFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)のレベルと比較するとき、この測定法は有益である。] [0121] また、FARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)ポリペプチドの量の測定結果は、CADの進行と相関関係を示し得る。FARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)ポリペプチドレベルは、生物試料がCAD罹患の傾向を示す細胞を含むか否かを評価するために予測的に使用され得るか、または特定の治療計画を立てるのに使用され得る。] [0122] 診断的検定法 正常対象と比べた場合のCAD罹患対象におけるFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)の発現レベルの検出可能な増加または減少の測定は、病気の状態および/または治療にとって有益となる応答の診断またはモニター手段を提供する。したがって、本発明は、CADまたはアテローム性動脈硬化症の検出方法、または別法として、対象においてCADまたはアテローム性動脈硬化症を発症する危険があるか否かの測定方法を提供する。] [0123] 臨床適用では、適切なFarp2またはStk25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)コード化核酸および/またはFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)ポリペプチドの存在および/または非存在についてヒト組織試料をスクリーニングにかけ得る。上記試料は、例えば穿刺生検コア、外科的切除標本、リンパ節組織、血漿または血清を含む、組織試料、全細胞、細胞ライゼート、または単離核酸を含み得る。ある種の実施態様では、これらの試料から抽出された核酸を、当業界で公知の技術を用いて増幅し得る。検出されたFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)および/または血漿リポタンパク質またはHDL−Cのレベルを、正常組織試料の場合と比較する。] [0124] 一実施態様における診断方法では、Farp2またはStk25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)のmRNA、cDNAまたはポリペプチドレベルを検出することにより、対象がCADに罹患しているか否かを測定することを含む。健康な正常対象の場合と比較した対象における活性の発現レベルの著しい変化は、CADまたはCADに対する易罹患性の指標である。好ましくは、変化は、少なくとも約10%、約20%、約25%、約30%、好ましくは少なくとも約40%、約50%、さらに好ましくは少なくとも約60%、約70%または約90%、約100%、約150%または約200%またはそれを超える%である。] [0125] 別法として、診断方法は、抗体を用いてFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)ポリペプチドまたはその機能性フラグメントを検出することにより実施され得る。一実施態様において、本方法は、対象からの生物試料中における適切なFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)ポリペプチド分子のレベルと、ポリペプチド分子の対照レベルとの比較を含み、その場合、FARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)ポリペプチドレベルの著しい変化が対象におけるCADの指標となる。「著しい変化」の語は、健康な正常対象由来の生物試料の場合との比較におけるポリペプチドまたはその機能性フラグメントの量の少なくとも約10%、約20%、約25%、約30%、好ましくは少なくとも約40%、約50%、さらに好ましくは少なくとも約60%、約70%または約90%、約100%、約150%または約200%またはそれを超える変化をいう。] [0126] 冠動脈疾患の予後、病期分類およびモニター 一態様において、本発明は、Farp2またはStk25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)核酸、ポリペプチドおよび/またはその機能性フラグメントの発現レベルの検査に基づいたCADの発症、予後および病期の決定方法を提供する。本明細書で使用されている予後とは、疾患の可能性の高い経過および結果の予測をいう。] [0127] 一般的に、CADの予後または病期分類に使用される方法では、興味の対象である試料中における適切なFarp2またはStk25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)の量を対照試料のそれと比較することにより、Farp2またはStk25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)の発現レベルの相対的差異を検出する。この差異は、定性的および/または定量的に測定され得る。対照試料は、CADではない、または正常試料、または進行していないことが判明している試料、または進行していることが判明している試料であり得る。] [0128] 本明細書で使用されているCAD病期(分類)とは、CADが発生し、症状を誘発している事象の進行度をいう。さらに、病期分類は、CADの病状が患者においていかなる形で進行しているかを述べるのに使用されるプロセスである。本発明の方法は、CADの病期分類を検定するのに有用である。病期分類は、対照標準レベルに対して適切なFarp2またはStk25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)の発現レベルを測定することにより達成され得る。対照標準レベルは、CADではない、健康な状態の試料、または病気の発達における異なる病期のCAD試料からのものであり得る。] [0129] さらに本発明は、適切なFarp2またはStk25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)核酸またはポリペプチドまたはその機能性フラグメントの発現レベルを経時的に測定することによる、対象におけるCADの進行または再発のモニター方法を提供する。] [0130] 一実施態様において、本方法は、a)最初の時点で対象における適切なFarp2またはStk25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)核酸分子の発現レベルを測定し、b)後続時点で対象におけるFarp2またはStk25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)核酸の発現を測定し、そしてc)最初の時点での発現レベルを後続時点でのそれと比較することを含み、その場合の発現レベルの著しい変化を、CADの発症、進行または退縮の指標とする。] [0131] 別の実施態様では、本方法は、a)最初の時点で対象におけるFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)ポリペプチド分子の発現レベルを測定し、b)後続時点で対象におけるFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)ポリペプチドの発現を測定し、c)最初の時点での発現レベルを後続時点でのそれと比較することを含み、その場合の発現レベルの著しい変化を、CADの発症、進行または退縮の指標とする。] [0132] 初期の時点に対する後続時点でのFarp2またはStk25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)核酸またはポリペプチドまたはその機能性フラグメントの発現レベルの増加は、病気がより深刻な段階に進行していることを示す。対照的に、後続時点での発現レベルの低下は、病気が深刻度の低い段階に移行していることを示す。] [0133] 治療および治療化合物の効力 別の態様において、本発明はまた、CADに関する伝統的および非伝統的処置および治療の両方が奏功していると思われる患者の評価および/またはモニターを可能にする方法を提供する。本発明の利点は、時間経過に応じて利用可能な治療の一つまたは幾つかが奏功し得る患者を経時的にモニター、スクリーニングすることにより、患者が処置(複数も可)によりいかなる経過をたどっているか、処置の変更、改変または中止が正当化されるか否か、または患者の病状または病期が進行したか否かを決定できることである。] [0134] 本発明による特定の治療に対して正しい患者を同定することにより、処置の効力を高めることができ、治療の望ましくない生命を脅かす副作用に患者をさらすことが回避できる。本発明の方法を用いて1クールの治療を受けている患者をモニターできれば、患者が時間経過に応じて治療に対し適正に応答しているか否かを測定でき、投薬または用量または送達方法を改変または調節するべきか否かを決定し、患者が治療中に快方に向かっているか、回帰しているか、またはより深刻または進行した病期に突入しているか否かを確認できる。] [0135] 本発明によるモニター方法は、患者の体液試料をある一定期間、例えば処置または治療過程中、または患者の病気の経過中に試験または分析することにより、CADまたはアテローム性動脈硬化症に罹患した患者の系列的または連続的な試験または分析結果を反映させる。例えば、系列試験では、本発明の方法に従って、処置過程中、および/または病気の経過中にFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)レベルを測定することにより、患者における適切なFarp2またはStk25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)核酸またはポリペプチドまたはその機能性フラグメントの発現レベルを観察、チェックまたは検査する目的で、同一患者が体液試料、例えば血清または血漿を提供するか、または同一患者が試料を採取されている。] [0136] 同様に、男性または女性の病気の状態および/または男性または女性が受けている処置または治療に対する効力、反応および応答を測定する目的で、生物試料におけるFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)レベルを評価するために患者を経時的スクリーニングにかけることも可能である。1つまたは複数の生物試料を、処置または治療過程前に、または処置または治療の開始時点で患者から最適な形で採取することにより、患者が処置を受け、臨床的および医学的評価を受けている期間中における1または複数の後続時点での患者の進行および/または応答の分析および評価を補足するのが望ましい。] [0137] レベルは、何日か、何週間か、何か月か、何年かのある一定期間にわたって、またはその様々な間隔でモニターされ得る。患者の体液試料、例えば血清または血漿試料を、医師または臨床研究者などの専門家が定めた間隔で集めて、処置または病気の経過に即して患者におけるFARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)、リポタンパク質またはHDLレベルを測定し、正常個体でのレベルと比較する。例えば、本発明に従って、患者試料を毎月、2か月ごとまたは1、2または3か月間隔の組み合わせで採取およびモニターし得る。年4回またはそれより頻繁な患者試料のモニターが賢明である。患者で見いだされるレベルを、正常個体でのレベル、以前の検査期間から得られた患者自身のレベルと比較することにより、処置または病気の進行または結果を測定する。] [0138] 総血漿リポタンパク質の減少および血漿HDL−Cの増加を示す、好ましくは正常個体で見いだされるレベルまたはその前後またはそれを下回るレベルへの適切なFarp2またはStk25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)レベルの時間経過に伴う低下は、処置の進行または効力、および/または病気の改善、寛解などの指標となる。] [0139] キット 本発明はまた、生物試料中の適切なFarp2またはStk25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)の発現レベル(核酸またはポリペプチドレベル)の検出に必要な試薬を含むキットを提供する。試薬は、上記の特異的なプローブ/プライマーおよび抗体を含み得る。またキットは、正常な状態および病気の様々な臨床的進行段階を示す対照/標準値または一連の対照/標準値を含み得る。好ましい実施態様では、対照/標準値または一連の対照/標準値は、正常な状態およびCADの様々な臨床的進行段階を示す。さらに、キットは、試験試料と比較するための陽性対照および/または陰性対照を含み得る。陰性対照は、Farp2またはStk25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)核酸またはポリペプチドを持たない試料を含み得る。陽性対照は、様々な既知レベルの適切なFarp2またはStk25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)核酸またはポリペプチドを有する試料を含み得る。キットはまた、検定を実施し、結果を解釈するための使用説明書を含み得る。抗体に基づくキットの場合、キットは、例えば(1)FARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)ポリペプチドまたはその機能性フラグメントに結合する第1抗体(例えば、固体支持体に結合されている)および所望により(2)FARP2またはSTK25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)ポリペプチド、そのエピトープまたは第1抗体に結合し、検出可能な標識にコンジュゲートされた第2の異なる抗体を含み得る。オリゴヌクレオチドに基づくキットの場合、キットは、例えば、(1)適切なFarp2またはStk25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)核酸配列とハイブリダイゼーションするオリゴヌクレオチド、例えば、検出可能な形で標識されたオリゴヌクレオチドまたは(2)Farp2またはStk25(またはその適切なホモログまたはオーソログ)核酸分子の増幅に有用な一対のプライマーを含み得る。またキットは、例えば緩衝剤、保存剤またはタンパク質安定剤を含み得る。さらにキットは、検出可能な標識(例えば、酵素または基質)の検出に必要な成分を含み得る。キットはまた、検定にかけられ、試験試料と比較され得る一対照試料または一連の対照試料を含み得る。キットの各成分は、個別容器内に封入され得、様々な容器は全て、キットを用いて実施した検定の結果を解釈するための使用説明書と一緒に単一パッケージ内に収められ得る。] [0140] 上記キットは、対象がCADまたはアテローム性動脈硬化症に罹患しているかまたはその発症の危険が増しているか否かを決定するのに使用され得る。さらに、上記キットは、CADまたはアテローム性動脈硬化症の予後を測定し、病期分類し、またはその進行をモニターするのに使用され得る。さらに、上記キットは、薬剤スクリーニングまたはCADまたはアテローム性動脈硬化症についての処置の選択に使用され得る。] [0141] 医薬組成物 別の態様において、本発明は、医薬上許容される担体と一緒に製剤化された、本発明のHDLモジュレーション剤(例えば、モノクローナル抗体または抗原結合部分(複数も可)、アンチセンス、siRNA、低分子量分子)の1つまたはその組み合わせを含む組成物、例えば医薬組成物を提供する。上記組成物は、(例えば、2種またはそれより多い、異なる)結合分子の一つまたはその組み合わせを含み得る。例えば、本発明の医薬組成物は、標的抗原上の異なるエピトープに結合するか、または相補的活性を有する抗体または薬剤の組み合わせを含み得る。] [0142] 本発明の医薬組成物はまた、併用療法で、すなわち、他の薬剤と組み合わせて投与され得る。例えば、併用療法は、HDLモジュレーション剤を少なくとも1種の他のコレステロール低下剤と組み合わせた形で含み得る。併用療法で使用され得る治療剤の例は、下記の本発明の薬剤の使用に関する項でさらに詳しく記載されている。] [0143] 本明細書で使用されている「医薬上許容される担体」は、生理学的に適合し得る溶媒、分散媒質、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを全て包含する。担体は、当然、静脈内、筋肉内、皮下、非経腸、脊髄または表皮投与(例えば、注射または注入による)に適したものである。投与経路により、活性化合物は、酸の作用および化合物を不活化し得る他の自然条件から化合物を保護する物質でコーティングされ得る。] [0144] 本発明の医薬組成物は、1種またはそれより多い医薬上許容される塩を含み得る。「医薬上許容される塩」は、親化合物の所望の生物活性を保持しており、望ましくない毒物学的作用をもたらすことのない塩をいう(例えば、Berge, S.M., et al., 1977 J. Pharm. Sci. 66:1-19参照)。上記塩類の例には、酸付加塩および塩基付加塩がある。酸付加塩には、非毒性無機酸、例えば塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸など、並びに非毒性有機酸、例えば脂肪族モノ−およびジ−カルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸などから誘導されるものがある。塩基付加塩には、アルカリ土類金属等、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど、並びに非毒性有機アミン類、例えばN,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカインなどから誘導されるものがある。] [0145] 本発明の医薬組成物はまた、医薬上許容される酸化防止剤を含み得る。医薬上許容される酸化防止剤の例としては、水溶性酸化防止剤、例えばアスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど、油溶性酸化防止剤、例えばアスコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ−トコフェロールなど、および金属キレート剤、例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などがある。] [0146] 本発明の医薬組成物で使用され得る適切な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール類(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)およびその適切な混合物、植物油、例えばオリーブ油、および注射可能有機エステル類、例えばエチルオレエートがある。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材の使用により、分散液の場合に要求される粒子サイズの維持により、そして界面活性剤の使用により維持され得る。] [0147] これらの組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などの補助剤を含み得る。微生物の存在の阻止は、滅菌処理、前出、および様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの含有の両方により確実に達成され得る。また、組成物中へ等張剤、例えば糖類、塩化ナトリウムなどを含有させることが望ましい場合もあり得る。さらに、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収遅延剤を含ませることにより、注射可能医薬形態の吸収を延長することも可能である。] [0148] 医薬上許容される担体は、無菌水溶液または分散液および無菌注射可能溶液または分散液をその場で調製するための無菌粉末を含む。医薬活性物質についての上記媒質および薬物の使用は当業界では公知である。慣用的媒質または薬剤が活性化合物と適合し得ない場合を除き、本発明の医薬組成物でのその使用も考慮に入れられる。補足的な活性化合物もまた組成物中に混合され得る。] [0149] 治療組成物は、典型的には製造および貯蔵条件下において無菌状態で安定していなくてはならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、または高い薬物濃度に適した他の整った構造として製剤化され得る。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール類(例えば、グリセリン、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)およびその適切な混合物を含む溶媒または分散媒質であり得る。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材の使用により、分散液の場合に要求される粒子サイズの維持により、そして界面活性剤の使用により維持され得る。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば糖類、ポリアルコール類、例えばマンニトール、ソルビトールまたは塩化ナトリウムを含有させ得る。例えばモノステアリン酸塩類およびゼラチンなどの吸収遅延剤を組成物に含ませることにより、注射可能組成物の吸収を延長することも可能である。]
权利要求:
請求項1 FarpまたはStk遺伝子またはそのホモログまたはオーソログによりコード化されたポリペプチドのエピトープに特異的な抗原結合領域を含む、単離抗体またはその機能性フラグメントの使用であって、該抗体または機能性フラグメントが細胞上の表面受容体に結合することにより、HDL関連疾患の発症を阻止または改善する使用。 請求項2 Farp遺伝子がFarp2遺伝子またはそのホモログまたはオーソログである、請求項1記載の使用。 請求項3 Stk遺伝子がStk25遺伝子またはそのホモログまたはオーソログである、請求項1記載の使用。 請求項4 有効量の請求項1〜3のいずれかに記載の抗体またはその機能性フラグメントを対象に投与することを含む、HDL関連疾患の処置方法。 請求項5 請求項1〜4のいずれかに記載の抗体または機能性フラグメントおよびそれに適した医薬上許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物。 請求項6 有効量の請求項5記載の医薬組成物を処置を必要とする対象に投与することを含む、HDL関連疾患の処置方法。 請求項7 HDL関連疾患処置用の医薬の製造に関する単離抗体またはその機能性フラグメントの使用であって、該抗体または機能性フラグメントが、Farp遺伝子またはStk遺伝子またはそのホモログまたはオーソログによりコード化されたポリペプチドのエピトープに特異的である抗原結合領域を含む使用。 請求項8 Farp遺伝子がFarp2またはそのホモログまたはオーソログである、請求項7記載の使用。 請求項9 Stk遺伝子がStk25遺伝子またはそのホモログまたはオーソログである、請求項7記載の使用。 請求項10 請求項1記載の抗体またはその機能性フラグメントをコード化する遺伝子をもつトランスジェニック動物。 請求項11 FarpまたはStkまたはそのホモログまたはオーソログの発現または活性の阻害を含む、冠動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症の処置方法。 請求項12 FarpがFarp2遺伝子またはそのホモログまたはオーソログである、請求項11記載の方法。 請求項13 StkがStk25遺伝子またはそのホモログまたはオーソログである、請求項11記載の方法。 請求項14 FarpまたはStkの発現または活性を阻害する段階が、さらにFarpまたはStk遺伝子またはそのホモログまたはオーソログによりコード化されるポリペプチドのエピトープに特異的な抗原結合領域を含む単離抗体またはその機能性フラグメントを用いて活性を阻害することを含む、請求項11記載の方法。 請求項15 抗原結合領域を含む単離抗体または機能性フラグメントが細胞上の表面受容体に結合することにより、HDL関連疾患の発症を阻止または改善する、請求項14記載の方法。 請求項16 Farp2またはStk25またはそのホモログまたはオーソログの発現または活性の改変を含む、冠動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症の処置方法。 請求項17 冠動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症の指標であるFarp2またはStk25またはそのホモログまたはオーソログの対立遺伝子を検出することを含む、冠動脈疾患または冠動脈疾患に対する易罹患性の検出方法。 請求項18 対立遺伝子がLeu821またはPro821である、請求項17記載の方法。 請求項19 冠動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症の処置の効力の測定方法であって、冠動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症を処置し、冠動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症の処置の効力が決定されるようにFarp2またはStk25またはそのホモログまたはオーソログのレベルを対照標準と比較することを含む方法。 請求項20 FARP2またはSTK25またはそのホモログまたはオーソログの発現または活性を改変することにより、血漿HDL−Cレベルの増加を誘導することに基づいた、冠動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症の処置に有用な薬剤の同定方法であって、生物試料を候補薬剤と接触させ、候補薬剤との接触の前後において試料中の総血漿リポタンパク質またはHDL−Cのレベルを測定することを含み、HDL−Cの増加を、冠動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症の処置に有用な薬剤の指標とする方法。 請求項21 冠動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症の処置に有用な薬剤の同定方法であって、既知基質の存在下でFARP2またはSTK25またはそのホモログまたはオーソログを候補薬剤と接触させることを含み、FARP2またはSTK25またはそのホモログまたはオーソログの活性の改変により、冠動脈疾患またはアテローム性動脈硬化症の処置に有用な薬剤として候補薬剤を同定する方法。 請求項22 接触段階を培養細胞で実施する、請求項21記載の方法。 請求項23 接触段階をインビボで実施する、請求項21記載の方法。 請求項24 Farp2またはStk25またはそのホモログまたはオーソログが内因性または外因性である、請求項21記載の方法。 請求項25 対象においてHDL−Cレベルを上昇させるモジュレーション剤の投与を含む、HDL関連疾患のモジュレーション方法。 請求項26 HDL関連疾患が、アテローム性動脈硬化症、脂質障害、アルツハイマー病、酸化ストレス、肥満、心臓血管疾患、2型糖尿病およびインスリン抵抗性から成る群から選択される、請求項25記載の方法。 請求項27 脂質障害が、高コレステロール、脂質異常症候群、高トリグリセリド、脂質異常症、異常リポタンパク血症、高脂血症、家族性高コレステロール血症および家族性高トリグリセリド血症から成る群から選択される、請求項26記載の方法。 請求項28 薬剤が、FARP2またはSTK25またはそのホモログまたはオーソログの発現または活性を改変する、請求項25記載の方法。 請求項29 モジュレーション剤が、小分子、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNAおよび抗体から成る群から選択される、請求項28記載の方法。 請求項30 HDL関連疾患が、対象のHDL−Cレベルが一般に容認された正常HDL−Cレベルを下回っている疾患である、請求項25記載の方法。 請求項31 HDL関連疾患が、対象のHDL−Cレベルが関連集団の平均HDL−Cレベルを下回っている疾患である、請求項25記載の方法。 請求項32 薬剤を医薬上許容される担体と共に投与する、請求項25記載の方法。
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同族专利:
公开号 | 公开日 WO2009101092A1|2009-08-20| EP2257641A1|2010-12-08|
引用文献:
公开号 | 申请日 | 公开日 | 申请人 | 专利标题
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